イオンモール熊本で起きた爆発・崩落事故をめぐり、亡くなった女性社員が一度避難した後、なぜ店内へ戻ったのかが注目されています。
女性社員の母親は、娘から「会社の人から頼まれた」「金庫にお金を入れる」と聞いた趣旨の証言をしています。
ただ、現時点でオンワード側が女性社員に店内へ戻るよう正式に指示したと確認されたわけではありません。
母親の証言にある「会社の人から頼まれた」という言葉と、会社が組織的に出した業務命令は分けて受け止める必要があります。
- イオンモール熊本で女性社員が避難後に店内へ戻った経緯
- オンワード関係者から金庫対応の依頼があったとされる根拠
- 母親の証言と会社による正式な指示の違い
- 企業の安全管理や今後確認される会社対応のポイント
イオンモール熊本で何があった?
イオンモール熊本では、2026年7月28日に発生した強い地震の後、建物内で爆発が起き、2階部分を中心に大きな崩落が発生しました。
来店客が避難した後も建物内に残っていた従業員がいたとみられ、事故後は消防や警察による救助活動が続けられました。
地震後に爆発し2階が崩落
テレビ朝日などの報道によると、熊本県嘉島町のイオンモール熊本では、7月28日午後6時ごろに白い煙や爆発音を知らせる通報がありました。
爆発によって2階部分が崩落し、当初は従業員とみられる20人から30人の安否が分からないとの情報も伝えられています。
熊本県は翌29日までに、現場で女性2人の死亡が確認されたと発表しました。
事故が発生したイオンモール熊本は、約200の専門店が入る大規模商業施設です。地震が起きた後、来店客や従業員の避難が行われていました。
女性社員は一度避難していた
今回注目されている女性社員については、地震発生後に一度建物の外へ避難していたと伝えられています。
来店客の避難誘導が行われた後だったため、女性社員がそのまま安全な場所にとどまっていれば、爆発に巻き込まれなかったのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、女性社員は避難後、再び店舗へ戻ったとされています。
母親の証言から浮かび上がったのが、店舗の売上金と金庫に関する連絡でした。
オンワードが金庫を指示?
現時点で確認されているのは、女性社員が母親に「会社の人から頼まれた」と話していたという遺族側の証言です。
誰が連絡したのか、どのような言葉を使ったのか、店内へ戻るよう明確に求めたのかは、詳しく明らかになっていません。
母親は会社の人から頼まれたと証言
女性社員の母親は、娘が避難した後に「会社の人から頼まれたから、金庫にお金を入れに行く」という趣旨の話をしていたと証言しています。
この証言が事実関係を確認する大きな手掛かりになっています。
女性社員が自分の判断だけで店舗へ戻ったのではなく、勤務先の関係者から何らかの依頼を受けた可能性があるためです。
一方で、母親は会社内の連絡を直接聞いたわけではありません。女性社員から伝えられた内容をもとにした証言であり、実際の通話内容や送受信されたメッセージの確認が待たれます。
頼まれたと正式指示は同じではない
「会社の人から頼まれた」という言葉だけでは、オンワードが組織として店内へ戻るよう指示したとは確定しません。
考えられる連絡には、次のような違いがあります。
店舗責任者が業務命令として再入店を求めた場合もあれば、同僚が売上金の状況を尋ねただけだった可能性もあります。
「金庫に入っているか確認してほしい」という連絡と、「店内に戻って金庫へ入れてほしい」という指示でも意味は大きく異なります。
今後は、連絡した人物の立場や具体的な言葉、女性社員が断れる状況だったのかが焦点になります。
女性社員が戻った理由は?
母親の証言に沿えば、女性社員が店内へ戻った理由は、店舗のお金を金庫に入れるためだったと考えられます。
アパレル店舗では、レジの現金や売上金を管理する作業が必要になります。ただし、大規模な地震の直後に行うべき業務だったのかは別の問題です。
金庫にお金を入れるためとの説明
女性社員は、地震後の避難によって店舗内に現金が残っている状態を気にしていた可能性があります。
勤務先の関係者から連絡を受け、責任感から店舗へ戻ったことも考えられるでしょう。
オンワード樫山の公式店舗情報では、イオンモール熊本の2階に「any SiS・UNFILO イオンモール熊本」が掲載されています。
ただし、公式店舗情報から分かるのはオンワードの店舗が施設内にあったことまでです。女性社員への連絡内容や、当日の店舗責任者の判断までは確認できません。
避難後の再入店経路は未確認
女性社員がどの入口から戻ったのか、施設側が再入店を許可していたのかも明らかになっていません。
確認が求められるのは、次のような点です。
・建物への立ち入りを止める担当者が配置されていたのか
・テナント責任者に再入店を禁止する連絡が届いていたのか
・女性社員以外にも売上金や商品を確認するため戻った人がいたのか
・爆発やガス漏れの危険性がどの時点で共有されたのか
・施設側と各テナントの避難指示が統一されていたのか
イオン側は地震後に客や従業員を施設外へ避難させたと説明していますが、その後の入館管理がどのように行われていたかは別途確認が必要です。
オンワードの会社対応は?
オンワードホールディングスの公式ニュースリリース一覧では、2026年8月1日午前0時時点で、女性社員への金庫対応の指示や事故当日の連絡経路について説明する発表は確認できませんでした。
そのため、会社が金庫への入金を指示したと決めつけることも、会社からの連絡はなかったと判断することもできない段階です。
公式説明で確認したい5つの点
オンワード側から説明が出る場合、確認したいのは以下の5点です。
第一に、女性社員へ連絡した人物がオンワードの社員や店舗責任者だったのかという点です。
第二に、実際に「金庫にお金を入れてほしい」と伝えたのか、それとも売上金の状況確認にとどまっていたのかが問われます。
第三に、避難後の店内へ戻ることを会社側が認識していたのかという点です。
第四に、地震発生時の避難マニュアルで、現金や商品の管理がどのように定められていたのかも確認対象になります。
第五に、施設を運営するイオンモール側と、テナントを運営するオンワード側で、再入店禁止などの情報が共有されていたのかという問題です。
イオンモール熊本の施設運営会社はイオンモール株式会社ですが、施設内の専門店はそれぞれ別の企業が運営しています。
建物全体の避難管理と、オンワード店舗内の業務連絡は、担当する企業や責任者が異なる可能性があります。
企業の安全管理と責任は?
会社の法的責任が認められるかどうかは、今後明らかになる連絡記録や避難状況によって変わります。
ただ、売上金や商品の保全よりも、従業員の生命と身体の安全を優先する体制が整っていたのかは厳しく確認されることになるでしょう。
労働契約法第5条は、使用者に対し、労働者が生命や身体などの安全を確保しながら働けるよう必要な配慮を求めています。
仮に、危険な建物へ戻るよう責任者が明確に指示していた場合は、安全配慮との関係が問われる可能性があります。
一方、店内へ戻る指示がなく、女性社員が自主的に行動していた場合や、爆発の危険を誰も予測できない状況だった場合には、責任関係の見方も変わります。
会社は真実を話してほしいという遺族の思い
女性社員の母親は、会社に対して真実を話してほしいという思いを訴えています。
遺族が知りたいのは、娘がなぜ安全な場所から店内へ戻らなければならなかったのかという点でしょう。
会社の指示だったのか、同僚からの依頼だったのか、本人の判断だったのかによって、事故に至った経緯は大きく変わります。
今後は、通話履歴やメッセージ、店舗責任者への聞き取り、施設の防犯カメラ、避難マニュアルなどをもとに、女性社員が戻るまでの流れが確認されるとみられます。
現時点では、オンワードが女性社員に金庫対応を正式に指示したと確定した情報はありません。
確認されているのは、女性社員が母親に「会社の人から頼まれた」と話していたという遺族側の証言です。
事故の責任を判断する前に、誰が、いつ、どのような言葉で連絡し、女性社員がなぜ再び店内へ入ったのかについて、会社や関係機関から具体的な説明が出ることが望まれます。
要点まとめ
- イオンモール熊本では地震後に爆発と建物の崩落が発生した
- 女性社員は一度施設の外へ避難していた
- 女性社員は金庫にお金を入れるため店内へ戻ったとみられている
- 母親は娘から会社の人に頼まれたと聞いたと証言している
- オンワードが組織として再入店を指示した事実は確定していない
- 会社の人からの依頼と正式な業務命令は分けて考える必要がある
- 誰がどのような言葉で連絡したのかは明らかになっていない
- 通話履歴やメッセージなど連絡記録の確認が焦点になる
- 避難後の再入店を防ぐ施設管理が十分だったのかも問われている
- 売上金の保全より従業員の安全を優先する企業体制が求められる
