「支障をきたす」という言葉、仕事や日常生活でよく耳にしますよね。でも、いざ自分でメールに書こうとすると「漢字は『来す』でいいの?」「誤用じゃないかな?」と不安になることはありませんか。特にビジネスシーンでは、上司への報告や取引先への謝罪で使うことも多く、正しい敬語や言い換え表現を知っておきたいところです。言葉の意味だけでなく、適切な使い方も気になりますよね。
- 「支障をきたす」の正しい意味や漢字の使い分け
- 「支障を及ぼす」などのよくある誤用と言い換え表現
- ビジネスメールや謝罪ですぐに使える具体的な例文
「支障をきたす」の正しい意味と漢字の使い分け
まずは、この言葉の基礎知識からしっかりと押さえていきましょう。普段なんとなく使っている言葉でも、改めて意味や語源を知ることで、自信を持って使えるようになりますよ。
支障をきたすの意味と誤用を解説
「支障をきたす」とは、簡単に言うと「物事の進行に差し障り(さしさわり)が生じること」を指します。
「支障」には「進行を妨げるもの」「不都合」という意味があり、「きたす」には「ある結果を招く」「引き起こす」という意味があります。つまり、何らかの原因によってスムーズな流れが滞ってしまい、困った状態になることを表しているんですね。
ここで重要なのは、「完全に止まってしまった」というよりは、「進めることはできるけれど、何か問題があってスムーズにいかない」というニュアンスが含まれている点です。「滞り(とどこおり)」と言い換えるとイメージしやすいかもしれません。
漢字は来すと書くかひらがな表記か
これ、迷う方が非常に多いポイントです。結論から言うと、公用文などの硬い文書では「来す」、一般的なビジネスメールでは「きたす」とひらがなで書くのがおすすめです。
公用文のルール 政府や自治体の文書(公用文)では、常用漢字表に基づいて「支障を来す」と表記するのが原則とされています。
ただ、普段のビジネスメールで「業務に支障を来す恐れがあります」と書くと、漢字が続いて少し堅苦しい、あるいは相手に強い印象を与えてしまうことがあります。「きたす」とひらがなにすることで、文章全体が柔らかくなり、相手への配慮(クッション)としても機能するので、シチュエーションによって使い分けるのがスマートですね。
支障を及ぼすという表現は間違い
よくある間違いの一つに「支障を及ぼす」という言い方があります。これは誤用ですので注意しましょう。
正しくは以下のコロケーション(言葉の結びつき)で使います。
| 正しい表現 | 誤りやすい表現 |
|---|---|
| 支障をきたす(来す) | 支障を及ぼす |
| 支障が出る / 生じる | 支障を招く(文法的には間違いではないが一般的ではない) |
「及ぼす」は「影響を及ぼす」や「被害を及ぼす」といった場合に使います。「支障」という言葉を使うときは、「きたす」とセットで覚えるようにしましょう。
状況に応じた適切な類語や言い換え
ビジネスでは、相手との関係性やトラブルの深刻度によって言葉を選ぶ必要があります。「支障をきたす」だと少し大げさかな?と思った時に使える類語をご紹介します。
使い分けの目安
- 差し障り(さしさわり)がある:少しマイルドな表現。「差し障りなければ」とクッション言葉としてよく使います。
- 不都合が生じる:相手にとって都合が悪い場合。「不都合がございましたら」と確認する際に便利です。
- 懸念される:まだ起きていないリスクを伝える場合。「支障をきたす懸念がございます」とセットで使うとプロっぽいです。
- 弊害(へいがい):悪い影響そのものを指す場合。「縦割り行政の弊害」のように使います。
英語で支障をきたすを伝える表現
グローバルな仕事をしていると、英語でこのニュアンスをどう伝えるかも悩みどころですよね。英語では状況に応じて動詞を使い分ける必要があります。
- Hinder(遅らせる、妨げる):最も一般的な表現。「Bad weather hindered the construction.(悪天候が工事に支障をきたした)」
- Disrupt(混乱させる、中断させる):システム障害などで予定が崩れた時に。「The outage disrupted our operations.(停電が業務に支障をきたした)」
- Interfere with(干渉する、邪魔する):私用などが仕事に入り込むニュアンス。「Personal problems interfere with my work.(個人的な問題が仕事に支障をきたしている)」
単に「遅れる(Delay)」と言うよりも、何かが原因で「妨げられている」というニュアンスを出すことで、相手に状況の深刻さが伝わりやすくなります。
ビジネスで「支障をきたす」際の例文と対処法
言葉の意味を理解したところで、次は実践編です。実際にトラブルが起きたとき、どのように伝えれば角が立たず、かつ事態の深刻さを共有できるのか、具体的なシーン別に見ていきましょう。
上司への報告やビジネスメールの例文
プロジェクトに遅れが出そうなとき、上司への報告は早めが肝心です。ここで「支障をきたす」を使うと、単なる「遅れます」という報告よりも、「解決すべき課題が発生している」というリスク管理の視点をアピールできます。
【例文:上司へのアラート報告】 件名:プロジェクト進捗に関するご相談 お疲れ様です。〇〇です。 現在の進捗状況についてご報告いたします。〇〇の工程において想定外のエラーが発生しており、このままでは来週の納期達成に支障をきたす恐れがございます。 つきましては、人員の追加配置をご検討いただけないでしょうか。
ポイントは、事実(エラー)と予測される結果(支障)をセットで伝え、その上で解決策(人員追加)を提案することです。
取引先に敬語で謝罪する際の文例
こちらのミスで相手の業務を止めてしまった場合、ただ謝るだけでなく「相手の業務を妨げてしまった事実」を認識していることを示す必要があります。
【例文:システム障害のお詫び】 件名:システム不具合に関するお詫び 株式会社〇〇 〇〇様 平素は大変お世話になっております。 本日発生いたしました弊社システムの不具合により、貴社の受注業務に多大なる支障をきたしましたこと、深くお詫び申し上げます。 現在は復旧しておりますが、再発防止に向けて全力を尽くしてまいる所存です。
「ご迷惑をおかけしました」に加えて「支障をきたしました」と明記することで、相手の損害に対する理解と誠意がより伝わります。
業務に支障が出るときの伝え方
逆に、無理な依頼を断りたいときにもこの言葉は役立ちます。「やりたくない」ではなく、「それを受けると他の重要な業務(や品質)に悪影響が出る」という論理で断るテクニックです。
例えば、「ご提示いただいた短納期では、品質チェックの工程に支障をきたす懸念がございますため、スケジュールの見直しをお願いできませんでしょうか」といった具合です。これなら、「品質を守るため」という正当な理由になるので、角を立てずに交渉ができますよ。
「支障をきたす」を正しく使いリスク管理
今回は「支障をきたす」という言葉について、意味や漢字の使い分けから、ビジネスでの実践的な活用法まで幅広く解説してきました。
この言葉は、単に「邪魔が入る」ことを伝えるだけでなく、ビジネスにおいてはリスクを共有してトラブルを未然に防ぐためのアラートとして機能します。
正しく言葉を使うことは、あなた自身の信頼を守ることにも繋がります。ぜひ、日々のコミュニケーションの中で、この「支障をきたす」というキーワードを意識してみてくださいね。
