お時間をいただきたく存じますの意味や正しい使い方に関する疑問、ビジネスメールやチャットでの返信や言い換え表現、さらには英語での伝え方や上司へのアプローチなど、仕事をしていると迷う場面は多いですよね。相手の大切な時間を確保するためのこの言葉は、単なるマナー以上の重要な戦略的意味を持っています。この記事では、言葉の成り立ちから実務ですぐに使えるテクニックまでを解説します。
- 「お時間をいただきたく存じます」の正確な意味と文法的な正しさ
- 状況や相手に合わせて使い分けるべき言い換え表現とクッション言葉
- アポイント獲得率を上げるメールの件名や本文の具体的なテンプレート
- チャットツールや英語でのコミュニケーションにおける最適な表現方法
お時間をいただきたく存じますの意味と二重敬語の真偽
ビジネスシーンで何気なく使っているこのフレーズですが、実は言葉の構造を理解すると、相手に対する「配慮の深さ」が見えてきます。ここでは、文法的な正しさや、相手との関係性に合わせた使い分けの機微について掘り下げていきましょう。
お時間をいただきたく存じますは二重敬語か徹底解説
結論から言うと、「お時間をいただきたく存じます」は正しい敬語表現であり、二重敬語ではありません。
多くの人が「敬語を重ねすぎではないか?」と不安になるのは、「いただき(謙譲語)」と「存じ(謙譲語・丁重語)」が続いているからですよね。でも、これは文法的には「敬語連結」と呼ばれるもので、それぞれ別の対象に敬語が掛かっているため問題ないんです。
ここがポイント
分解してみるとよく分かります。
- いただき(謙譲語):相手から時間を「もらう」行為に対する敬意
- たく(希望):「~したい」という希望
- 存じ(丁重語):そう思っている「自分」の状態を丁寧に表現
- ます(丁寧語):聞き手への丁寧な結び
つまり、「二重敬語(一つの語に同じ種類の敬語を重ねる)」には当たらないのです。自信を持って使って大丈夫ですよ。
ただし、似た表現で「ご相談させていただきたく存じます」となると、少し話が変わります。文法的に間違いではないものの、「させて」「いただき」「存じます」と謙譲表現が3連発になるため、受け手によっては「くどい」「回りくどい」と感じられるリスクがあります。スッキリ伝えたい場合は避けたほうが無難かもしれません。
状況に応じた言い換え表現とクッション言葉の活用
「お時間をいただきたく存じます」は非常に丁寧で素晴らしい表現ですが、すべてのシーンでこれがベストとは限りません。相手との距離感や緊急度によって、適切な「言い換え」を選ぶのがデキるビジネスパーソンです。
| 表現 | 丁寧度 | おすすめのシーン |
|---|---|---|
| お時間をいただきたく存じます | 高 | 商談依頼、目上の方への相談 |
| お時間をいただけますでしょうか | 高 | 相手が多忙で、可否を伺いたい時 |
| ご相談させていただきたく存じます | 高 | 目的が「相談」に決まっている時 |
| お時間よろしいでしょうか | 中 | 電話やチャット、対面での呼び止め |
また、いきなり用件を切り出すのではなく、相手の心理的ハードルを下げる「クッション言葉」をセットで使うのが鉄則です。
使えるクッション言葉
- 「差し支えなければ」:断る余地を与えることで、相手の負担を減らします。
- 「お忙しい中恐縮ですが」:相手の状況を理解していることを示せます。
- 「もしよろしければ」:強制感を消し、柔らかい印象を与えます。
頂戴するとの違いと相手への敬意を表す使い分け
「時間をいただく」と似た表現に「時間を頂戴(ちょうだい)する」があります。「頂戴」は「もらう」の謙譲語の中でも、物を頭上に捧げ持つ動作に由来するため、「いただく」よりもさらに改まった、敬意の高い表現になります。
使い分けのコツとしては、「謝罪」や「最上級の敬意」が必要な場面かどうかです。
例えば、こちらのミスで相手を呼び出す場合や、社長クラスの方にアポをお願いする場合は、「貴重なお時間を頂戴したく存じます」とするのが効果的です。一方で、日常的な社内ミーティングで「頂戴する」を連発すると、かえって慇懃無礼(丁寧すぎて失礼)になったり、よそよそしさを感じさせたりすることもあるので注意が必要です。
上司にアポを取る際に失礼にならない敬語のポイント
社内の上司、特に直属の上司に対して「お時間をいただきたく存じます」を使うのは、少し重すぎる場合があります。社内コミュニケーションで大切なのは、丁寧さよりも「目的の明確化」と「時間の見積もり」です。
上司は常に時間に追われています。「相談があります」だけでは、「何について?」「何分かかるの?」と警戒されてしまいます。
上司への依頼テンプレート
「〇〇の件でご相談があり、15分ほどお時間をいただけますでしょうか」
このように、「何分欲しいのか」を具体的に数字で伝えることが、本当の意味での上司への配慮(敬意)になります。「いただきたく存じます」を使うなら、重要な承認案件や、深刻な相談の場合に限定するなど、メリハリをつけると良いでしょう。
グローバルビジネスの英語メールで時間を貰う表現
外資系企業や海外とのやり取りで、直訳の “I want your time” は絶対にNGです。これは「お前の時間をよこせ」と言っているようなもので、非常に攻撃的に聞こえます。
英語圏での丁寧さは、「直接的な表現を避けること」と「相手にNoと言う選択肢を与えること」で表現されます。
- 基本: “I would like to request a meeting to discuss…”(~について話し合う機会をお願いしたく存じます)
- 同僚・親しい間柄: “Could you spare a few minutes?”(数分ほどお時間を割いていただけますか?)
“Spare” の取扱注意
“Spare” には「余分なものを割く」というニュアンスがあります。そのため、初対面のVIPや重要な商談相手に使うと、「余った時間でいいので」と軽く扱っているように誤解されるリスクがあります。フォーマルな場では “Request” や “Schedule” を使うのが無難です。
実践!お時間をいただきたく存じますの意味とメール術
ここからは、実際にメールやチャットを送る際にそのまま使える実践的なテクニックを紹介します。相手に「会ってもいいかな」と思わせるための構成には、明確なルールがあります。
アポイント獲得率を高めるメール件名と本文の構成
メールを開封してもらえるかどうかは、件名で9割決まります。「ご相談」や「お願い」だけの件名は、忙しい相手からすると後回しにされがちです。
良い件名の条件は、「具体的な目的」と「アクション」が一目でわかることです。
- 悪い例:ご相談のお願い
- 良い例:【ご相談】新規プロジェクト進行に関するお打ち合わせのお願い
そして本文では、以下の5ステップを意識してください。
- 宛名:正確に書く(部長の〇〇様、など)
- 挨拶:「お世話になっております」
- 導入(Why):なぜ今、この時間を取る必要があるのかメリットを提示
- 依頼(What):ここで「お時間をいただきたく存じます」を使用。所要時間も明記。
- 日程提示(When):候補日を3~5つ提示
特に「いつでもいいです」は相手に日時を考えさせるコストを丸投げする行為なので、必ずこちらから候補を出すのがマナーです。
そのまま使えるシチュエーション別の豊富な例文集
実際にコピペして使えるテンプレートを用意しました。状況に合わせて微調整して使ってください。
ケースA:新規開拓営業(初めての相手)
件名:貴社業務効率化ツール「〇〇」のご案内に関するお打ち合わせのお願い
本文:
〇〇株式会社
営業部 部長 鈴木様
突然のご連絡にて失礼いたします。
株式会社△△の佐藤と申します。
(中略:相手の課題への共感と解決策の提示)
つきましては、本サービスがいかに貴社の課題解決に寄与できるか、詳しくご説明するお時間をいただきたく存じます。
もし可能でしたら、来週以降で30分~1時間ほど、オンライン(Zoom等)にてお話しさせていただきたく存じます。
ご多忙の折恐縮ですが、下記の日程のご都合はいかがでしょうか。
[日程候補1]
[日程候補2]
[日程候補3]
ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。
ケースB:社内上司への承認依頼
件名:【ご相談】A社向け提案書の内容確認について
本文:
田中部長
お疲れ様です。佐藤です。
来週提出予定のA社向け提案書について、最終的な方向性の承認をいただきたく、ご相談させていただきたく存じます。
本日または明日のどこかで、15分ほどお時間をいただくことは可能でしょうか。
私の空き状況としては、以下の時間帯が可能です。
・本日:15:00-17:00
・明日:10:00-12:00
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
チャットツールで重たくならない短縮表現のマナー
SlackやTeams、Chatworkなどのチャットツールでは、「お時間をいただきたく存じます」という表現は文字数が多く、堅苦しすぎる印象を与えがちです。チャットの良さはスピード感ですので、少し表現を圧縮しましょう。
おすすめは「ご相談したく存じます」という表現です。「させていただく」を「したく」にするだけで、丁寧さを保ちつつリズムが良くなります。
また、チャットならではの「今ちょっといいですか?」を確認するテクニックも有効です。
チャットでの依頼例
「@田中部長 お疲れ様です。A案件についてご相談したく存じます。今5分ほど、通話可能でしょうか?」
このように、「相談の意志」と「即時の可否確認」をセットにすると、相手はスタンプや「OK」の一言で返信できるため、コミュニケーションがスムーズになります。
依頼を受けた際の返信や断り方のビジネスマナー
逆に、相手から「お時間をいただきたく存じます」とメールをもらった場合、どう返すのが正解でしょうか。
承諾する場合は、「承知いたしました」だけでなく、「お忙しい中ご連絡いただきありがとうございます」と一言添えるのがポイントです。相手もアポイント調整という労力を払ってくれていることへの感謝を示すと、その後の関係が良好になります。
難しいのは「断る」場合や「日程調整」が必要な場合ですよね。
断り方・調整のフレーズ
- 日程が合わない時:「確認のため、少々お時間を頂戴したく存じます。本日中に改めてご連絡いたします。」(期限を切って不安を解消する)
- お断りする時:「大変光栄なお申し出ではございますが、今回はご期待に沿いかねます。」(クッション言葉で和らげつつ、きっぱり断る)
断る際は、代替案を出さないことで「今回は縁がない」という意思表示になります。曖昧にせず、しかし礼儀正しく対応することが、お互いの時間を無駄にしないための最大のマナーです。
まとめ:お時間をいただきたく存じますの意味と活用
今回は、「お時間をいただきたく存じます」の意味や具体的な使い方について解説しました。この言葉は、相手の貴重な資産である「時間」を分けてもらうための、敬意にあふれた素晴らしい日本語です。
大切なのは、ただ丁寧な言葉を並べることではなく、相手の負担を減らす(=時間を大切にする)姿勢です。メールなら具体的な日時を出す、チャットなら簡潔に伝える。そういった配慮こそが、ビジネスを円滑に進める鍵になります。
ぜひ、明日からのメールや会話で活用してみてくださいね。
※本記事の情報は一般的なビジネスマナーに基づいています。組織の文化や相手との関係性によって最適な表現は異なる場合がありますので、状況に応じて柔軟に対応してください。
