ビジネスシーンで「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」という表現を見聞きする機会は多いですが、その正確な意味や敬語としての使い方、どのくらいの期間を指すのかについて、自信を持って説明できるでしょうか。このフレーズは、相手に配慮を示しつつ時間を確保するための便利な言葉ですが、使い方を誤ると失礼にあたる可能性もあります。
特にビジネスメールで用いる際の例文や、より丁寧な「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」との違い、状況に応じた言い換え、さらには英語での伝え方まで、気になる点は多岐にわたるはずです。また、依頼する際に「恐れ入りますが」といったクッション言葉を添えるべきか悩む場面もあるでしょう。
この記事では、そうした疑問を解消し、ビジネスパーソンとして適切なコミュニケーションが取れるよう、この重要なフレーズを徹底的に解説します。
- 「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」の正しい意味と敬語としての使い方
- 待たせる期間の具体的な目安と、対面・電話・メールといったシーン別の例文
- 状況に応じて使える言い換え表現と、より丁寧な敬語表現との使い分け
- ビジネスメールで相手に好印象を与える書き方のポイントや英語での伝え方
「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」の基本を解説
この章では、「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」というフレーズの基本的な意味、敬語としての正当性、そして具体的にどのくらいの待ち時間を想定して使うべきかについて掘り下げていきます。
・まずは「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」の正しい意味から
・敬語として正しい?目上の人にも使えるのか
・「今しばらく」とは具体的にどのくらいの期間?
・様々なビジネスシーンでの活用法
・覚えておきたいシーン別の例文
まずは「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」の正しい意味から
この表現は、相手に少しだけ時間を待ってもらいたい時に使用する、丁寧な依頼の言葉です。単に「待ってください」と伝えるのではなく、「お待ちいただく」という謙譲語と、「そうしていただけると、こちらとしてはありがたいです」という気持ちを表す「幸いです」を組み合わせることで、相手への敬意と配慮を示しています。
「今しばらく」という部分が、「長すぎない、少しの間」というニュアンスを含んでいるため、相手に過度な待ち時間を意識させずに、必要な時間を確保する意図を伝えられます。
したがって、このフレーズは、自分の都合で相手を待たせてしまう状況に対して、申し訳ないという気持ちと、理解を求める丁寧な姿勢を同時に表現するための、非常に便利な言葉と考えられます。ビジネスコミュニケーションを円滑に進める上で、その意味を正しく理解しておくことが大切です。
✅ 要点まとめ
- 「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」は、丁寧に相手へ待機を依頼する表現。
- 構成要素:
- 「お待ちいただく」:謙譲語で、相手への敬意を込めた「待ってもらう」表現。
- 「幸いです」:そうしてもらえるとありがたい、という控えめな願望・感謝の気持ち。
- 「今しばらく」:
- 「少しの間」や「そう長くはない時間」を示す表現。
- 相手に負担をかけすぎない印象を与える。
- このフレーズは:
- 自分の都合で相手を待たせることへの配慮。
- 申し訳なさ・丁寧な理解のお願いを同時に伝える。
- 特にビジネスシーンでは、円滑なコミュニケーションを保つための重要な表現。
要素 | 内容 |
---|---|
表現全体 | 今しばらくお待ちいただけますと幸いです |
用途 | 丁寧に「少し待ってほしい」と依頼する |
「お待ちいただく」 | 謙譲語。「待つ」の丁寧な言い回しで、相手への敬意を示す |
「今しばらく」 | 「少しの間」や「長くない時間」の意味。待ち時間への配慮が込められる |
「幸いです」 | 「そうしていただけるとありがたい」という感謝やお願いの気持ち |
印象・効果 | 丁寧・控えめ・配慮があり、相手への理解と協力を求める柔らかい表現 |
ビジネスでの役割 | 相手に不快感を与えず、円滑なやりとりを維持するための便利な言い回し |
敬語として正しい?目上の人にも使えるのか
このフレーズは、敬語として全く問題なく、上司や取引先の担当者など、目上の人に対して使用できます。
その理由は、「お待ちいただけますと」の部分に、相手の行動をへりくだって表現する謙譲語「いただく」が使われているためです。これにより、相手に「待つ」という行動をお願いする際に、深い敬意を示すことができます。
ただし、注意点もあります。非常に高い敬意が求められる相手や、重大な迷惑をかけている状況では、この表現でも敬意が足りないと受け取られる可能性がゼロではありません。そのような場合には、後述する「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」のような、さらに丁寧な表現を選択することが望ましい場合もあります。
相手との関係性や状況の深刻度を考慮し、適切な敬語表現を使い分ける意識を持つことが、円滑な人間関係を築く鍵となります。
✅ 要点まとめ
- 敬語としては正しい表現であり、目上の人にも使用可能。
- 理由:
- 「お待ちいただけますと」には、謙譲語「いただく」が含まれており、相手の行動に対して敬意を示している。
- 「幸いです」は、控えめに自分の希望を伝える丁寧な表現。
- 使用に適した相手:
- 上司、取引先、顧客など、ビジネス上の目上の人物にも適している。
- 注意点:
- 以下のような場合には、さらに丁寧な表現が適することもある:
- 相手が極めて高位の人物(社長、役員、役職者など)
- 重大な遅延や迷惑が発生している場合
- より丁寧な表現の例:
- 「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」
- 以下のような場合には、さらに丁寧な表現が適することもある:
項目 | 内容 |
---|---|
表現 | 今しばらくお待ちいただけますと幸いです |
敬語レベル | 謙譲語+丁寧語。基本的に敬語として正確 |
使用対象 | 上司・取引先・顧客など、目上の相手にも使用可能 |
適している状況 | 一般的な遅延・軽微な待機依頼など |
注意すべき場面 | 極めて丁寧さが求められる場面や、大きな迷惑をかけている状況 |
さらに丁寧な言い換え例 | 今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます |
敬意の強さ(5段階) | ★★★★☆(やや控えめな丁寧さ) |
✅ 補足アドバイス
- 敬語は相手との関係や状況次第で使い分けることが重要。
- 迷った場合は、「丁寧すぎるくらいでちょうどいい」と考えるのがビジネスでは無難です。
「今しばらく」とは具体的にどのくらいの期間?
「今しばらく」が示す期間は、明確に「何分」「何日」と定義されているわけではなく、使われる状況によって目安が大きく異なります。相手を無用に不安にさせないためにも、媒体ごとの一般的な認識を把握しておくことが求められます。
このため、状況別の待ち時間の目安を理解しておくことが、相手との認識の齟齬を防ぐ上で助けとなります。
利用シーン別「今しばらく」の目安一覧
利用シーン | 想定される待ち時間 | 具体的な状況例 |
---|---|---|
対面会話 | 数秒〜数分程度 | ・受付で担当者を呼ぶ ・商品を取りに行く ・会議室の準備中 |
電話応対 | 数秒〜数分程度 | ・保留して情報を確認 ・他部署に転送 ・資料を探す |
ビジネスメール | 数時間〜数日(場合により1週間以上) | ・見積もり作成 ・社内確認・稟議 ・技術的な問い合わせ対応 |
このように、メールでの「今しばらく」は、対面や電話に比べてかなり長い期間を指すことが一般的です。もし、相手が想定しているよりも時間がかかりそうな場合は、「〇営業日以内にご返答いたします」のように、具体的な期間を付け加える配慮があると、より親切な印象を与えられます。
✅ 要点まとめ
- 「今しばらく」は明確な時間や日数を定めていない曖昧表現。
- 実際の時間感覚は、状況や媒体によって大きく異なる。
- 相手との認識のズレを防ぐには、利用シーンごとの目安を理解することが重要。
- 可能であれば、具体的な時間を添える表現と併用するのが親切。
✅ 注意点と配慮表現
注意点 | 改善・補足の工夫例 |
---|---|
相手が「すぐ返ってくる」と思い込む可能性あり | 「〇分ほどお時間をいただけますと幸いです」 |
メールでは時間感覚に差が出やすい | 「〇営業日以内にご連絡いたします」「来週中に回答予定です」など |
長時間待たせる可能性がある場合 | あらかじめ「お時間を要する見込みです」と一言添える |
✅ まとめ
- 「今しばらく」は便利だが曖昧な分、誤解を生みやすい表現でもあります。
- 使用場面の温度感を把握し、必要に応じて補足を加えることが信頼感につながります。
様々なビジネスシーンでの活用法
このフレーズは、即時対応が難しい様々なビジネスシーンで活用できる、非常に汎用性の高い言葉です。これを使いこなすことで、相手への敬意を保ちながら、業務を円滑に進めるための必要な時間を確保できます。
本来は、迅速な対応が求められる場面で相手を待たせてしまうのは、ビジネスにおいて避けたい事態です。しかし、やむを得ず時間が必要になるケースは少なくありません。そうした場合に、この表現がクッションとなり、相手からの理解を得やすくしてくれます。
問い合わせや依頼への対応
顧客や取引先からの問い合わせに対し、すぐに回答できない場合に活用します。 「お問い合わせの件、ただいま詳細を確認しております。恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
報告書や資料作成の遅れ
予定していた納期に間に合わない可能性がある際に、事前に連絡を入れる場合に使います。 「報告書の作成に想定以上の分析が必要となっております。完成まで今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
システムメンテナンスやトラブル発生時
システム障害などでサービスが利用できない状況を伝え、復旧まで待ってもらう際に用います。 「現在システムメンテナンスを行っております。ご不便をおかけしますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
社内での検討や確認が必要な場合
受けた提案や依頼に対し、自分一人では判断できず、上司や関連部署との調整が必要な時に使えます。 「いただいたご提案について、社内で検討いたしますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
✅ 全体の要点まとめ
- 汎用性が高い表現で、ビジネスの多くの場面で活用できる。
- 即答・即対応ができないときの“クッション言葉”として機能。
- 相手に不快感を与えず、必要な作業時間を確保するための丁寧な依頼表現。
- 状況説明と組み合わせることで、誠実な印象を与える。
✅ ビジネスシーン別 活用例一覧(表)
利用シーン | 典型的な状況・使い方例 |
---|---|
問い合わせや依頼対応 | 顧客や取引先からの問い合わせにすぐに回答できない時。 例: 「詳細を確認しております。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
資料・報告書の遅延連絡 | 分析や確認に時間を要し、納期に間に合わない可能性がある時。 例: 「完成まで今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
システム障害やメンテナンス | システムトラブルで復旧を待たせる場合。 例: 「メンテナンス中につきご不便をおかけしますが、今しばらくお待ちください。」 |
社内調整・確認が必要な時 | 上司や関連部署と協議が必要で即答できない時。 例: 「社内で検討のうえ、今しばらくお待ちくださいませ。」 |
会議・面談前の待ち時間 | 対面やオンラインで準備中に使う。 例: 「開始まで今しばらくお待ちください。」 |
承認・決裁待ち | 稟議や上長の確認がまだのとき。 例: 「承認手続き中につき、今しばらくお待ちいただけますようお願いいたします。」 |
✅ 補足ポイント
- 表現の印象:謝罪+丁寧なお願いのバランスが取れた、角の立たない言い回し。
- 注意点:繰り返しの使用や長時間の放置は、相手の不信感を招く恐れがある。
- より親切な伝え方:「○○までにはご案内いたします」と具体的な目安を加えると◎。
✅ 類似表現(場面に応じて使い分け可能)
表現例 | ニュアンス / 適した場面 |
---|---|
少々お時間をいただけますでしょうか | ややカジュアルな印象。チャットや口頭でも使いやすい。 |
恐れ入りますが、しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます | フォーマルな印象。社外・重要な場面に最適。 |
ご迷惑をおかけしますが、復旧までお待ちくださいませ | トラブル時や謝罪を含む場合に有効。 |
覚えておきたいシーン別の例文
前述の通り、「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」は多様な場面で使えますが、具体的な例文をいくつか覚えておくと、いざという時にスムーズに言葉が出てきます。ここでは、シーン別に具体的な使い方を見ていきましょう。
理由や謝罪の言葉と組み合わせることで、より丁寧で誠実な印象を相手に与えることができます。
対面・口頭での例文
店舗のレジや会社の受付など、相手が目の前にいる状況で使います。少し待たせる理由を簡潔に添えるのがポイントです。
- 「ただいま担当者が参りますので、こちらの椅子にお掛けになって、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
- 「申し訳ございません、前の会議が長引いております。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
電話応対での例文
電話を保留にして何かを確認する際に使います。相手を不安にさせないよう、保留にする目的を伝えましょう。
- 「在庫を確認いたしますので、恐れ入りますが、このままの状態で今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
- 「担当部署にお繋ぎいたします。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
メール・チャットでの例文
返信に時間がかかる旨を伝える際に使用します。いつ頃までに対応できるか、具体的な目処を伝えられると、より親切です。
- 「お問い合わせありがとうございます。内容を確認し、3営業日以内に改めてご連絡いたしますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
- 「ご注文いただいた商品は、現在発送準備中です。発送完了まで今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」
✅ シーン別:覚えておきたい例文一覧
シーン・媒体 | 使用目的・状況例 | 具体的な例文 |
---|---|---|
対面・口頭(受付・接客) | 相手の目の前で少し待たせる必要があるとき | 「ただいま担当者が参りますので、こちらにおかけになって今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
会議や来客の待機時 | 「申し訳ございません、前の会議が長引いております。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 | |
電話応対 | 情報確認や在庫照会など、一時的に保留が必要なとき | 「在庫を確認いたしますので、恐れ入りますが、このまま今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
担当者に電話を取り次ぐとき | 「担当部署にお繋ぎいたしますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 | |
メール・チャット | 回答や処理に時間がかかるとき | 「内容を確認し、3営業日以内に改めてご連絡いたします。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
商品・サービスの進行状況を伝えるとき | 「ご注文いただいた商品は、現在発送準備中です。発送完了まで今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
✅ 実用ポイント
- 「何に時間がかかっているのか」+「どれくらいか」を伝えることで、相手は安心しやすくなります。
- 丁寧な謝意や理由を添えることで、誠実な印象を強められます。
- 特にメール・チャットでは具体的な目処(〇営業日以内など)を加えるのがベター。
✅ 応用したい類似表現
表現 | 特徴/適した場面 |
---|---|
「恐れ入りますが、しばらくお時間をいただけますと幸いです。」 | 丁寧かつ汎用的。社外メール・ビジネス文書で有効。 |
「少々お時間を頂戴いたします。」 | やや口語的で、対面・電話・チャットなどカジュアルな場面に向く。 |
「〇日以内にご連絡いたします。」 | 具体性を加えた安心感のある表現。納期や返信見通しに。 |
「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」を使いこなす応用術
基本的な使い方をマスターしたら、次に応用テクニックを身につけましょう。ビジネスメールでの効果的な書き方や、状況に応じた言い換え表現を知ることで、あなたのコミュニケーションはさらに洗練されます。
・ビジネスメールでそのまま使える書き方
・「恐れ入りますが」などクッション言葉の使い方
・状況に合わせた言い換え表現のバリエーション
・より丁寧な「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」
・英語で伝えたい場合の便利なフレーズ
ビジネスメールでそのまま使える書き方
ビジネスメールでこの表現を使う際は、ただ待ってほしいと伝えるだけでなく、相手を不安にさせないための配慮が鍵となります。件名で用件を明確にし、本文では「待たせる理由」「今後の対応」「いつ頃までに対応するか」をセットで伝える構成を意識しましょう。
これらの要素を盛り込むことで、相手は状況を正確に理解でき、安心して待つことができます。
件名: Re: 〇〇プロジェクトのお見積もり依頼の件
本文: 株式会社〇〇 営業部 〇〇様
いつも大変お世話になっております。 株式会社△△の□□です。
この度は、お見積もりのご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
ただいま、ご依頼内容に基づき、最適なプランを検討しております。 詳細な確認に時間を要しておりますため、大変恐縮ですが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
進捗がございましたら、改めてご報告申し上げます。 期日としましては、7月25日(金)までには必ずご提出いたします。
何卒ご理解いただけますよう、お願い申し上げます。
このように、具体的な期日を提示したり、進捗報告を約束したりすることで、誠実な姿勢が伝わり、相手との信頼関係を損なわずに済みます。
✅ ビジネスメールでの活用ポイント(3要素)
- 待たせる理由の明示
- 対応予定または目安の提示
- 謝意とお願いの表現
これらを盛り込むことで、誠実な印象と信頼感を保ちながら、相手に安心してもらうことができます。
✉️ メール文例(テンプレート形式)
件名: Re: 〇〇プロジェクトに関する資料のご依頼
宛名:
株式会社〇〇
営業部 〇〇様
本文:
いつも大変お世話になっております。
株式会社△△の□□です。
この度は〇〇のご依頼をいただき、誠にありがとうございます。
現在、内容を社内で確認中につき、詳細のご案内までに少々お時間をいただいております。
大変恐縮ではございますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
〇月〇日(〇)までにはご回答できるよう進めておりますので、何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
なお、進捗があり次第、改めてご報告差し上げます。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
📝 別パターン(目的別)
シーン | 書き出し例・本文例 |
---|---|
見積もり・提案書の遅延 | 「ご依頼の件、内容を精査しております。今しばらくお待ちいただけますと幸いです。〇日までにお届けいたします。」 |
問い合わせへの回答 | 「ただいま確認中でございます。〇営業日以内にご返答申し上げますので、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
システム障害や不具合対応 | 「現在原因を調査中でございます。復旧まで今しばらくお待ちいただけますようお願い申し上げます。」 |
社内承認・確認待ち | 「社内の承認手続き中でございます。完了まで今しばらくお時間をいただけますと幸いです。」 |
「恐れ入りますが」などクッション言葉の使い方
「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」というフレーズの前に、「恐れ入りますが」や「申し訳ございませんが」といったクッション言葉を添えることで、文章全体がより丁寧で柔らかい印象になります。
相手に何かを依頼したり、不便をかけたりする前に、こうした言葉を挟むのは、日本のビジネスコミュニケーションにおける重要なマナーの一つです。相手の気持ちを和らげ、こちらの依頼を受け入れてもらいやすくする効果が期待できます。
- 恐れ入りますが、 今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
- (相手に手間をかけることへの申し訳なさを表現する、最も一般的なクッション言葉)
- お忙しいところ申し訳ございませんが、 今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
- (相手の状況を気遣う気持ちを表現したい時に適しています)
- 大変恐縮ですが、 今しばらくお待ちいただけますと幸いです。
- (より強い謝罪や謙遜の気持ちを示したい、フォーマルな場面で使われます)
これらのクッション言葉は、単に丁寧にするだけでなく、こちらの「申し訳ない」という感情を伝える役割も果たします。状況に応じて使い分けることで、よりきめ細やかな配慮を示すことができるでしょう。
✅ クッション言葉とは?
- 依頼・謝罪・説明の前に添えることで、文全体を柔らかく丁寧にする言葉。
- 相手に与える印象を和らげる効果があり、日本のビジネスマナーにおいて非常に重要。
- 「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」とセットで使うと、丁寧さ・誠実さが際立ちます。
✅ クッション言葉 + 「今しばらく〜」の例文一覧
クッション言葉 | 用途・ニュアンス | 例文 |
---|---|---|
恐れ入りますが | 一般的かつ広く使える表現。 軽い依頼やお願いに適する | 「恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
申し訳ございませんが | 迷惑をかけることへの謝罪を伴う丁寧な依頼 | 「申し訳ございませんが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
お忙しいところ恐縮ですが | 相手の状況(多忙など)を配慮したいときに有効 | 「お忙しいところ恐縮ですが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
大変恐縮ですが | より強い謝罪・恐縮の気持ちを示したいとき | 「大変恐縮ですが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
ご迷惑をおかけしますが | 既に何らかの不便が生じている状況 | 「ご迷惑をおかけしますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。」 |
✅ クッション言葉の使い分けヒント
相手の状況/シーン | 適したクッション言葉例 |
---|---|
相手が多忙/社外の顧客 | 「お忙しいところ恐縮ですが」 「恐れ入りますが」 |
すでに遅れや迷惑をかけている | 「申し訳ございませんが」 「ご迷惑をおかけしますが」 |
フォーマル/目上の相手 | 「大変恐縮ですが」 「恐れ入りますが」 |
柔らかく頼みたいとき(チャットなど) | 「恐れ入りますが」 「お手数ですが」 |
✅ 応用:クッション言葉を含んだビジネスメール文例
件名:Re: ご依頼の件について
株式会社〇〇 〇〇様
お世話になっております。△△の□□です。
ただいまご依頼の内容について社内にて確認を進めております。
恐れ入りますが、今しばらくお待ちいただけますと幸いです。進捗があり次第、改めてご連絡申し上げます。
引き続きよろしくお願いいたします。
状況に合わせた言い換え表現のバリエーション
常に「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」だけを使っていると、やや機械的な印象を与えてしまう可能性があります。状況や相手との関係性に応じて、他の表現を使い分けることで、より自然で柔軟なコミュニケーションが可能になります。
待ち時間の長さや、表現の丁寧さに応じて、いくつかの選択肢を持っておくと便利です。
言い換え表現一覧
言い換え表現 | 主なニュアンス・丁寧度 | 想定される待ち時間 | 使用シーンの例 |
---|---|---|---|
少々お待ちください | カジュアル寄り、最も一般的 | 数秒〜1分程度 | 店舗、受付、電話で少し確認したいとき |
もうしばらくお待ちください | 「少々」よりやや長め | 数分〜数十分 | 会議の開始前、接客対応が長引いているとき |
〇日ほどお時間を頂戴できますと幸いです | 丁寧かつ具体的 | 数日〜1週間以上 | メールで納期の延期・見積もり・社内検討を伝えるとき |
少しお時間をいただけますようお願い申し上げます | 非常に丁寧、ややフォーマル | 数十分〜数日 | 社外の顧客や目上の人に対して回答を待ってもらうとき |
ご容赦くださいますようお願い申し上げます | 許しを請う表現、謝罪の意味を含む | 不明・長期間に及ぶ可能性あり | トラブル・長期対応・大幅な遅延の際のフォーマルな謝罪 |
お時間をいただいてしまい恐縮ですが | 丁寧だがややカジュアルなニュアンス | 数分〜数時間 | メール・チャットで社内外問わず使える柔らかめの表現 |
○○までにご連絡いたしますので、それまでお待ちください | 時間を明示し、安心感を与える | 明確に指定した期間 | メール・チャットで回答期限が明確なとき |
例えば、電話でほんの少し確認するだけなら「少々お待ちください」が適切ですし、返答に数日かかることが分かっているなら、最初から「〇日ほどお時間を頂戴できますと幸いです」と伝える方が誠実です。これらの表現を適切に使い分けることが、相手からの信頼を得る上で大切になります。
✅ シーン別おすすめ表現
シーン | 適した言い換え表現例 |
---|---|
電話・口頭(短時間) | 「少々お待ちください」「このままお待ちいただけますでしょうか」 |
メール(数日必要) | 「〇日ほどお時間を頂戴できますと幸いです」「〇日中にはご回答いたします」 |
顧客対応(トラブル時) | 「ご迷惑をおかけしております。ご容赦くださいますようお願い申し上げます」 |
社内調整中 | 「ただいま社内で確認しております。恐れ入りますが、少しお時間をいただけますでしょうか」 |
✅ 表現の選び方のコツ
- 待ち時間の長さと丁寧さのバランスがカギ。
- 短時間 → シンプル・軽めでOK(例:「少々お待ちください」)
- 長時間 → 丁寧+具体性が求められる(例:「〇日ほど~」)
- 相手との関係性やトーンにも注意。
- 社内・カジュアル → ややくだけた表現も可
- 社外・顧客・上司 → 丁寧な敬語+クッション言葉必須
より丁寧な「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」
「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」は、「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」よりもさらに敬意の度合いが高い、非常に丁寧な表現です。
この二つの表現の違いは、動詞の使い分けにあります。「いただく」は自分が恩恵を受ける謙譲語であるのに対し、「くださる」は相手が自分に何かをしてくれることを表す尊敬語です。
「お待ちくださいますよう」と相手の行動に尊敬語を使い、さらに「お願い申し上げます」という謙譲語を重ねることで、相手への敬意を最大限に高めています。
このため、この表現は、自社の役員や非常に重要な顧客、あるいは大きな迷惑をかけてしまっている相手に対してなど、特に高い敬意を示す必要があるフォーマルな場面で使うのが適切です。通常のビジネスシーンで多用すると、かえって堅苦しく、距離感のある印象を与えかねないため、使いどころを見極めることが肝心です。
✅ 「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」の意味と特徴
項目 | 内容 |
---|---|
敬語の構成 | 「お待ちくださいます」=尊敬語 「お願い申し上げます」=謙譲語 |
敬意のレベル | 非常に高い(尊敬語+謙譲語の重ねがけ) |
使用対象 | 上位役職者(社長・役員)、重要顧客、フォーマルな書面など |
適した場面 | 重度の遅延・謝罪、正式な案内、丁寧な督促、感謝と依頼の同時表現が必要なとき |
注意点 | 通常のやり取りで多用すると堅苦しく過剰表現になるおそれがある |
✅ よりカジュアルな表現との比較
表現 | 敬意レベル | 特徴・ニュアンス | 用途 |
---|---|---|---|
今しばらくお待ちください | ★★☆☆☆ | 丁寧だがややカジュアル | 対面・電話など口頭での軽い依頼に |
今しばらくお待ちいただけますと幸いです | ★★★★☆ | 丁寧で柔らかく、ビジネスメールに最適 | 一般的なビジネス文書・お知らせ |
今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます | ★★★★★ | 非常に丁寧でフォーマル。最大限の敬意を込めた依頼表現 | 謝罪・謝意・重要対応での正式なやりとり |
✅ 使用例(メール文)
株式会社〇〇
営業部 部長 〇〇様平素より大変お世話になっております。△△株式会社の□□でございます。
ご依頼いただいております資料の件につきまして、現在、社内で最終確認を進めております。
ご多用のところ誠に恐れ入りますが、今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。〇月〇日(金)までには必ずご報告申し上げます。何卒よろしくお願い申し上げます。
✅ まとめ:この表現を使うべきタイミング
適している場面 | 適していない場面 |
---|---|
・役員や顧客への正式メール ・大きな遅延や謝罪 ・フォーマルな報告文書 | ・社内チャット ・軽い確認 ・日常的な業務メール |
✅ 補足アドバイス
- フォーマルさを求められる文書では頼れる表現ですが、過剰使用は避けましょう。
- 敬意の「強弱」を使い分けることが、信頼されるビジネスパーソンの言葉づかいに繋がります。
英語で伝えたい場合の便利なフレーズ
グローバルなビジネスシーンでは、同様の状況を英語で伝える必要も出てきます。日本語のように一つの決まった丁寧なフレーズがあるわけではなく、状況に応じていくつかの表現を使い分けるのが一般的です。
短い待ち時間をお願いする場合
口頭やチャットで、少しだけ待ってほしい時に使えます。
- Could you please wait a moment? (少々お待ちいただけますか?)
- Just a moment, please. (少々お待ちください)
相手の忍耐に感謝を示す場合
メールなどで、相手が待ってくれている状況に対して使います。感謝を伝えることで、丁寧な印象を与えられます。
- Thank you for your patience. (お待ちいただきありがとうございます)
- We appreciate your patience. (お待ちいただけますと幸いです。よりフォーマルな表現)
時間がかかることを伝える場合
対応に時間がかかることをあらかじめ伝える際に使います。
- This may take some time. (これには少し時間がかかるかもしれません)
- I will get back to you by the end of this week. (今週末までにご連絡します)のように、具体的な期日を示すとより親切です。
英語では、なぜ待たせるのか、いつまで待たせるのかを明確に伝えることが、信頼関係を維持する上で特に大切になります。
✅ シーン別:使える英語フレーズ集
🔹 ① 短い待ち時間をお願いしたいとき(対面・電話・チャット)
フレーズ | 日本語訳 | 備考 |
---|---|---|
Just a moment, please. | 少々お待ちください。 | 一番シンプルで口頭で使いやすい表現。 |
Could you please wait a moment? | 少しお待ちいただけますか? | 丁寧さを強調したいときに。 |
One moment, please. | 少々お待ちください。 | カジュアルな口調でも使える。 |
🔹 ② 忍耐への感謝を伝えたいとき(メール・対面)
フレーズ | 日本語訳 | 丁寧さレベル |
---|---|---|
Thank you for your patience. | お待ちいただきありがとうございます。 | カジュアルでもフォーマルでも使える定番。 |
We appreciate your patience. | ご辛抱いただき感謝申し上げます。 | より丁寧・ビジネス文書向け。 |
We sincerely apologize for the delay. | 遅延に対して心よりお詫び申し上げます。 | 謝罪を含めたい場合に適する。 |
🔹 ③ 対応に時間がかかると伝えるとき(メール・会議)
フレーズ | 日本語訳 | ポイント |
---|---|---|
This may take some time. | 少しお時間を頂戴する可能性があります。 | シンプルに予告したいとき。 |
I’ll get back to you shortly. | すぐにご連絡いたします。 | 明確な期日がないときに便利。 |
I will get back to you by [date]. | [日付]までにご連絡いたします。 | 具体的な見通しを伝えたいときに。 |
We are currently looking into this. | 現在調査中です。 | 状況報告にも使える表現。 |
Thank you for bearing with us during this time. | ご不便をおかけして申し訳ありません。引き続きご容赦ください。 | 丁寧かつ感謝を伝えるフォーマルな表現。 |
✅ 英語表現のポイント
ポイント | 説明 |
---|---|
❶ 背景を添える | 例:「We are currently checking internally」など理由を伝える |
❷ 見通しを明確にする | 「by the end of this week」など、いつ対応できるかを必ず明記 |
❸ 感謝を忘れずに | Thank you / We appreciate your understanding などを添えると誠意が伝わる |
✅ まとめ:場面別おすすめセット例
シーン | セットで使える英語例文 |
---|---|
チャットでの一時確認 | “Just a moment, please. I’ll check and get back to you shortly.” |
メールでの遅延連絡 | “We are currently reviewing your request. Thank you for your patience. I’ll follow up by July 25.” |
お詫びを込めて丁寧に | “We sincerely apologize for the delay. We appreciate your understanding and will respond as soon as possible.” |
総括:「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」をマスター
この記事では、「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」という表現について、その意味から応用的な使い方までを網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントを振り返ります。
- 「今しばらくお待ちいただけますと幸いです」は相手に配慮しつつ時間を確保する丁寧な敬語表現
- 謙譲語「いただく」と丁寧語「幸いです」で構成されており、目上の人にも使える
- 「今しばらく」が指す期間は状況によって異なり、対面では数分、メールでは数日以上が目安
- ビジネスでは問い合わせ対応、納期遅延、社内検討など様々なシーンで活用できる
- 使う際は待たせる理由や今後の対応をセットで伝えると誠実さが伝わる
- ビジネスメールでは具体的な対応期日を示すと相手は安心できる
- 「恐れ入りますが」などのクッション言葉を添えると、より丁寧で柔らかい印象になる
- 状況に応じて「少々お待ちください」などの言い換え表現を使い分けることが大切
- より高い敬意が求められる場面では「今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます」を使う
- 言い換え表現をまとめた表を活用し、語彙のバリエーションを増やすと良い
- 英語では「Thank you for your patience.」のように感謝で伝えたり、具体的な期日を示したりする
- 相手を不安にさせないための配慮が、この言葉を使いこなす上で最も重要な鍵となる
- このフレーズは円滑なビジネスコミュニケーションに不可欠なツールの一つ
- 正しい知識と使い方を身につけることで、相手との信頼関係をより強固にできる
- 今回学んだ内容を日々の業務に活かし、コミュニケーションの達人を目指してほしい