2026年3月2日、小学館の漫画配信アプリ「マンガワン」から発表された異例の声明が、漫画業界やSNSに大きな衝撃を与えています。かつて『週刊少年ジャンプ』で連載され、絶大な人気を誇りながらも原作者の逮捕により打ち切りとなった『アクタージュ act-age』の原作者・マツキタツヤ氏が、別名義「八ツ波樹」としてマンガワンで新連載を行っていたことが発覚したのです。
その復帰作となったのが、異世界転移と臨床心理学を掛け合わせた異色のファンタジー漫画『星霜の心理士』です。卓越した心理描写と美しい作画で、すでに単行本2巻が発売されるなど人気を集めていた矢先の連載停止発表に、読者からは驚きと戸惑いの声が上がっています。
そして、この騒動において世間の関心を最も集めているのが、作画を担当していた雪平薫氏の存在です。読者の間では「作画担当はまた何も知らされずに巻き込まれたのか?」「アクタージュの宇佐崎しろ先生と同じ悲劇が繰り返されたのでは」と、同情や心配の声が殺到しています。
本記事では、ネット上の信頼できる公式発表や過去の経緯を基に、作画担当である雪平薫氏が原作者の正体を知っていたのかどうか、マンガワン編集部の対応、そして突然の連載停止に伴う雪平氏の今後や補償問題について、深く掘り下げて解説していきます。

雪平薫は八ツ波樹(マツキタツヤ)の正体を知っていたのか?
マンガワン編集部から事前の説明はあった?
結論から申し上げますと、作画担当である雪平薫氏は、原作者である八ツ波樹氏の正体がマツキタツヤ氏であること、そして過去に強制わいせつ容疑で逮捕された経緯があることを「事前に知らされていた」ことが公式発表によって明らかになっています。小学館およびマンガワン編集部が発表した経緯説明によると、編集部は雪平氏に対して作画を依頼する際、過去の名義や事件の事実関係、さらに「世間にこの事実が知られた場合にご自身に降りかかりうる様々なリスク」について明確に伝達していました。
つまり、雪平薫氏は何も知らされずに騙されてタッグを組まされたわけではなく、すべての事情とリスクを天秤にかけた上で、自らの意思で作画を引き受けたことになります。この点は、ある日突然ニュースでコンビ相手の逮捕を知り、青天の霹靂として連載打ち切りに直面した『アクタージュ』の作画担当・宇佐崎しろ氏の状況とは根本的に異なります。マンガワン編集部側も、過去の事例から作画担当者が負う社会的・精神的ダメージの大きさを理解していたため、事前のインフォームド・コンセント(十分な説明を受けた上での同意)を徹底していたと推測されます。
では、なぜ雪平薫氏は自身のキャリアに傷がつくかもしれない多大なリスクを背負ってまで、この作品の作画を引き受けたのでしょうか。公式発表において、雪平氏は「漫画(原作)を読んで涙が出たのは生まれてはじめてで、これは自分が描くべき作品だと感じた。本作のテーマや社会的意義、おもしろさは世に広めるべきだ」と語ったと説明されています。『星霜の心理士』は、心に深い傷を負った勇者たちを臨床心理士がケアしていくという、非常に繊細で深いテーマを扱った作品です。雪平氏はこの物語が持つ圧倒的な力とメッセージ性に共鳴し、クリエイターとしての使命感から作画依頼を受諾したという背景がありました。
雪平薫のSNS(X)での反応や今後のコメント予測
今回の連載一時停止および第三者委員会の設置という大々的な発表を受けて、雪平薫氏がSNS等でどのような反応を示しているか気になる方も多いでしょう。現時点において、雪平氏の個人公式X(旧Twitter)などから、今回の騒動に関する直接的な声明や感情的な投稿は確認されていません。小学館という大手出版社が第三者委員会を設置して調査を行うという非常にセンシティブな状況下にあるため、関係者である雪平氏個人からの発信は、編集部や法務担当者によって厳しく制限・管理されている可能性が高いと考えられます。
しかし、マンガワンの公式発表の中には、雪平薫氏の現在の意向を示唆する重要な一文が含まれています。それは「雪平薫氏は、連載継続とご自身の作画継続のご意向をお示しになりました」という部分です。世間からの猛烈なバッシングや、被害者感情への配慮を欠いていたのではないかという編集部への批判が渦巻く中にあっても、雪平氏は『星霜の心理士』という作品を見捨てることなく、最後まで描き切りたいという強い意志を持っていることが窺えます。
今後、第三者委員会の調査結果が報告され、事態がある程度収束した段階で、雪平氏から何らかのコメントが発表されると予測されます。その際の内容は、過去の事件によって傷ついた被害者の方々に対する配慮と謝罪を念頭に置きつつも、純粋に「作品を届けたかった」「キャラクターたちの心を救う物語を描き切りたかった」というクリエイターとしての切実な思いが綴られるのではないでしょうか。読者としては、複雑な事情を抱えながらも真摯に作品に向き合ってきた雪平氏の言葉を、静かに待ちたいところです。
『星霜の心理士』連載停止で雪平薫の今後はどうなる?
原稿料の補償や損害賠償は本当にされるのか
『星霜の心理士』は現在、マンガワンアプリ上での更新が一時停止されるという措置が取られています。この「連載一時停止」という決定により、作画を担当している雪平薫氏の収入や今後のキャリアには深刻な影響が及ぶことが懸念されます。漫画家にとって、連載がストップすることは直近の原稿料収入が絶たれることを意味し、さらに単行本の重版や新規発刊が見送られれば、印税という将来的な安定収入も失うことになります。
この点について、マンガワン編集部は声明の中で「停止に伴う八ツ波樹氏、雪平薫氏の損害については誠意を持って対応いたします」と明言しています。出版業界における一般的な対応を鑑みると、すでに執筆済みで未公開となっている原稿に対する原稿料は、全額支払われる可能性が高いでしょう。また、連載に向けてアシスタントを雇用したり、機材を導入したりといった経費が発生している場合、それらの実損害に対してもある程度の補填が行われるのが通例です。しかし、「誠意を持った対応」がどこまで法的な損害賠償や逸失利益(連載が続いていれば得られたはずの利益)のカバーにまで及ぶのかは、現時点では不透明です。
さらに懸念されるのは、本作が「一時停止」から「完全な連載打ち切り」へと移行するリスクです。小学館は一連の問題の経緯や人権意識を確認するため、外部有識者による第三者委員会を設置しました。この委員会の提言次第では、マツキタツヤ氏(八ツ波樹氏)の起用自体が社会通念上不適切であったと結論付けられ、作品そのものが封印される可能性も十分に考えられます。万が一、単行本1巻・2巻の絶版や電子書籍の配信停止といった厳しい措置が取られれば、雪平薫氏が受けた経済的・キャリア的な損失は、金銭の補償だけでは到底取り返しがつかないものになるでしょう。
ネットでは「アクタージュ作画担当と同じ悲劇」と同情の声が殺到
雪平薫氏が事前に原作者の正体とリスクを知らされていたという事実が公表された後も、インターネット上やSNSでは雪平氏に対する同情の声が止むことはありません。多くの読者が真っ先に思い浮かべたのは、やはり2020年に起こった『アクタージュ act-age』の凄惨な幕引きでした。作画の宇佐崎しろ氏が、自身のあずかり知らない原作者の性加害事件によって、手塩にかけて育てた作品とキャラクターを突然奪われた悲劇は、今も多くの漫画ファンの心に深い傷として残っています。
今回、雪平氏が事前に事情を知っていたとはいえ、「原作者の過去の罪が原因で、作画担当の素晴らしい絵や努力が再び日の目を見なくなる」という構図自体は全く同じです。SNS上では以下のような声が多数寄せられています。
- 「事前に知っていたとしても、素晴らしい作品を描き続けてきた作画担当が不利益を被るのは納得がいかない」
- 「『星霜の心理士』の繊細な絵柄は本当に素晴らしかった。雪平先生の才能がこんな形で潰されてしまうのは漫画界の損失だ」
- 「リスクを承知で引き受けた雪平先生の覚悟を踏みにじるような、編集部の危機管理能力のなさに呆れる」
読者の怒りの矛先は、雪平氏や原作者よりも、むしろ「別名義を使えばバレないだろう」と安易な見通しで連載をスタートさせ、結果的に炎上を招いて作画担当を矢面に立たせた小学館・マンガワン編集部へと向かっています。被害者への配慮という名目でペンネームを変更させながら、最終的にすべてを公表せざるを得なくなり、被害者もクリエイターも読者も全員を不幸にしてしまった編集部の判断に対して、厳しい批判が殺到しているのが現状です。
雪平薫の経歴プロフィール!過去の代表作品まとめ
ここで改めて、高い作画画力で読者を魅了し続けてきた雪平薫氏の経歴や、過去の代表作品について振り返ってみましょう。雪平氏は、キャラクターの繊細な表情や、ファンタジー世界における重厚な背景描写を得意とする、非常に実力のある漫画家です。
『星霜の心理士』の連載開始以前は、主にオリジナル小説やマンガを配信するプラットフォーム「peep(ピープ)」などで活躍していました。例えば、「原作:空飛ぶひよこ / 作画:雪平薫 / ネーム:YOSHITORA」という体制で制作されたホラーSF異世界作品などにも携わっており、緊迫感のあるシーンやキャラクターの心理的な揺れ動きを視覚的に表現するスキルには定評がありました。
そして、2025年11月にマンガワンで配信開始、コミックス第1巻が発売された『星霜の心理士』で、その才能は大きく開花しました。本作のあらすじは、人類と魔族が戦争を続ける過酷なファンタジー世界を舞台に、現代日本から異世界転移してきた臨床心理士・霜月星乃が、決死の戦いによって心に深いトラウマを抱えた勇者一行のカウンセリングを行うというものです。「勇者たちのメンタルケア」という斬新な切り口と、公認心理師の監修を受けた本格的な心理療法のアプローチが話題を呼び、2026年2月には待望の第2巻が発売されたばかりでした。
雪平氏の描く『星霜の心理士』の魅力は、何といっても「痛みを抱えた人々のリアリティのある表情」にあります。過酷な重圧に耐えかねて心を病んでいく聖職者や、仲間の死に直面してPTSDのような症状に苦しむ戦士たち。彼らの絶望感や、カウンセリングを通じて少しずつ光を見出していく過程の表情の変化は、雪平氏の高い画力がなければ成立しなかったと、多くの読者や批評家から絶賛されていました。だからこそ、その才能が原作者の過去の問題によって封じ込められてしまう現状に対して、惜しむ声が後を絶たないのです。
まとめ
本記事では、マンガワンで発覚した『アクタージュ』原作者・マツキタツヤ氏の別名義(八ツ波樹)起用問題において、読者の関心が最も高い「作画担当・雪平薫氏」の状況について詳しく解説しました。
- 雪平薫氏は、事前に原作者の正体と逮捕歴、リスクについて編集部から説明を受けていた。
- その上で、原作の圧倒的な面白さと社会的意義に共鳴し、覚悟を持って作画を引き受けていた。
- 連載継続を希望しているものの、現在は更新が一時停止され、損害については編集部が対応を約束している。
- 読者からは、才能あふれる作画担当が再び原作者の過去によって不利益を被る状況に対し、強い同情と編集部への批判が集まっている。
『星霜の心理士』という作品が、皮肉にも「他者の心の傷を癒やす」というテーマを持っていたことは、今回の騒動の複雑さをより一層際立たせています。第三者委員会の調査結果がどのような結末を迎えるにせよ、雪平薫氏という類まれなる才能を持ったクリエイターの筆が折られることなく、再び素晴らしい作品を世に送り出してくれる日が来ることを願ってやみません。今後の小学館の対応と、公式からの続報に引き続き注目していきましょう。
