「執務時間」って言うけど「庶務時間」とは言わない…。「庶務係」はいるけど「執務係」って聞かないな…。似ているようで実は全然違う「執務」と「庶務」、この違いって結構ややこしいですよね。
私も、この二つの言葉の違いはもちろん、庶務と総務の違い、あるいは事務や雑務との区別、さらには執務室と事務室の違いまで、どう使い分けるのが正しいのか、わかりやすく整理したいとずっと思っていました。
この記事では、そんな「執務」と「庶務」の根本的な違いから、関連する言葉の使い分けまで、スッキリ解決できるように解説していきますね。
- 執務と庶務の根本的な意味の違い
- 総務・事務・雑務との明確な使い分け
- 執務室と事務室のニュアンスの違い
- 業務や職務といった関連用語との関係性
執務と庶務の違いがわかる基本
まずは、一番大事な「執務」と「庶務」の基本的な違いから見ていきましょう。この二つ、実は「行為」なのか「役割」なのか、という根本的な違いがあるんですよね。
執務とは?「行為」を指す言葉
「執務(しつむ)」っていうのは、カンタンに言うと「仕事をする・業務を行う」という「行為」そのものを指す言葉ですね。デスクワークとか事務作業をしている、その動作自体を指す感じです。
その文字通り「務(つとめ)を執(と)る」と書くわけで、まさに行動を表しています。「執務を行う」とか「執務中」「執務時間」のように、行為や、その行為が行われる時間・場所とセットで使われるのが一般的かなと思います。
庶務とは?「役割」を指す言葉
一方の「庶務(しょむ)」は、行為ではなく、「仕事の役割・職務」を指す言葉なんです。
具体的には、企業内の各部署(例えば営業部や開発部など)に所属して、その部署の運営がスムーズに進むようにサポートする、多岐にわたる事務作業全般の「役割」や、その「担当者」のことを指します。
「一般事務」とほぼ同じ意味で使われることも多く、部署を支える縁の下の力持ち的な存在ですね。
執務室と事務室の違い
「執務室」と「事務室」、どちらも仕事をする部屋なんですけど、最近はニュアンスで使い分けられている気がします。
「事務室」っていうと、なんとなく昔ながらの「事務作業に特化した場所」「書類仕事や計算を黙々と行う部屋」というイメージがありますね。
対して「執務室」は、最近のオフィスで好まれる表現かなと思います。これは、単なる作業場所というだけでなく、個人の集中作業、Web会議、短時間のミーティング、コミュニケーションも含めた多機能なワークスペース、というニュアンスが含まれているからかもしれません。
現代の働き方に合わせて、言葉のニュアンスも変化してきている感じがしますね。
執務と庶務の違いをわかりやすく整理
ここまでを整理すると、この二つの言葉の違いは「何を指しているか」という点に尽きます。
「執務」と「庶務」の違いまとめ
- 執務 (しつむ): 仕事をする「行為・動作」のこと。 (例: 執務を行う、執務室)
- 庶務 (しょむ): サポート業務の「役割・職務」のこと。 (例: 庶務担当、営業部の庶務)
つまり、「運転する」という行為と、「バス運転手」という役割を比べるようなもので、そもそも比較の土台が違うんですね。
「庶務」という役割の担当者が、その職務を全うするために「執務」という行為を行う、っていう関係性なんです。
執務や庶務の違いと類義語
執務と庶務の根本的な違いがわかったところで、さらに混乱しやすい「総務」や「事務」といった言葉との違いも、しっかり整理していきましょう。ここがスッキリすると、ビジネス用語への理解が一気に深まると思います。
最重要:庶務と総務の違い
これ、一番迷うところかもしれませんね。「庶務」と「総務」、どちらもバックオフィス業務ですが、決定的な違いは「担当範囲」です。
カンタンに言うと、こう分けられます。
- 庶務 → 部署内のサポート (例: 営業部の庶務)
- 総務 → 会社全体のサポート (例: 総務部)
庶務は各部署に配置されて、その部署の電話対応や備品発注、経費精算などを担当します。あくまで「部署」のサポート役ですね。
一方で、総務は「総務部」という独立した部門として存在し、会社全体の施設管理(オフィスの移転とか)、全社的な福利厚生の制度設計、株主総会の企画・運営など、より大規模で全社的な業務を担当します。
庶務と事務の違いは?
「庶務」と「事務」、特に「一般事務」は、業務内容としてはほとんど同じかなと思います。どちらも電話対応、データ入力、書類作成、備品管理といったノンコアのサポート業務全般を指しますね。
あえて違いを言うなら、
- 事務:「事務作業」という言葉があるように、オフィスワーク全般(書類作成、計算など)の「業務の種類」を指す、最も広い言葉。
- 庶務:その「事務」の中でも、特に部署のサポートに特化した「一般事務」の「役割・職務名」として使われることが多い言葉。
というニュアンスの違いですね。実際には、会社によって「庶務」と呼ぶか「一般事務」と呼ぶか、呼称が異なるだけ、っていうケースも多いと思います。
庶務と雑務の違いも解説
「雑務(ざつむ)」や、ついでに「雑用(ざつよう)」って言葉もありますね。この3つは、業務としての公式度合いで区別できそうです。
庶務・雑務・雑用の違い
- 雑用 (ざつよう): 最も非公式。「用事」に近く、業務とは限らない単発の手伝い。(例: 書類コピー、買い出し、会議室の椅子並べ)
- 雑務 (ざつむ): 「業務」の「務」がつく通り、れっきとした「仕事」の一部。本業ではないが、組織運営上必要な雑多な業務。(例: 領収書整理、管理表の更新)
- 庶務 (しょむ): これら部署内で発生する「雑務」を、効率的に処理するために定義された正式な「役割・職務」。
つまり、担当者が決まっていない雑多な業務が「雑務」で、それを専門に引き受ける役割が「庶務」っていう整理ができそうですね。「雑務」を「庶務」という役割に集約することで、他のメンバーがコア業務に集中できるわけです。
業務と職務の違いも確認
「執務」に関連して、「仕事」を表す他の言葉、「業務(ぎょうむ)」と「職務(しょくむ)」の違いも見ておきましょう。視点の違いで整理できます。
- 業務 (ぎょうむ): 組織・会社(マクロ)として行う仕事。事業活動全体。(例: 営業業務、開発業務)
- 職務 (しょくむ): 個人・役職(ミクロ)に割り当てられた仕事・役割。(例: 営業部長の職務、経理担当の職務)
- 執務 (しつむ): その『職務』を実際に行う「行為」。
この関係性を流れで言うと、『会社が「業務」を定義し、その業務を遂行するために個人に「職務」が与えられ、個人はその職務を全うするために日々「執務」する』…こんな流れで考えると、スッキリしますね。
庶務の具体的な仕事内容
あらためて、庶務が担当する具体的な仕事内容をリストアップしてみますね。企業や部署によってもちろん差はありますが、一般的にはこんな感じです。本当に幅広いサポートをしてくれているのがわかります。
【主な庶務の仕事リスト】
- コミュニケーション・窓口業務
- 電話対応(部署への内線・外線の一次対応)
- 来客対応(会議室への案内、お茶出し)
- 会議室の予約・管理
- 事務・文書管理
- 書類作成・資料作成のサポート
- データ入力(顧客情報、売上データなど)
- 書類整理・ファイリング
- 経理・財務サポート
- 伝票整理・処理
- 経費精算(部署メンバーの交通費など)
- 小口現金管理
- 環境・物品管理
- 備品管理・発注(コピー用紙、文房具など)
- 郵便物の仕分け・発送
- 部署内の清掃・環境整備
上記はあくまで一般的な例です。経費精算などは専門知識が必要な場合もあるため、具体的な業務内容は所属する組織の規定を確認してくださいね。
部署のメンバーが営業活動や製品開発といった本業(コア業務)に集中できるのは、こうしたサポート業務を庶務担当の方が一手に引き受けてくれているおかげなんですよね。本当にありがたい存在だと思います。
総括:執務と庶務の違いのポイント
今回は、ややこしい「執務」と「庶務」の違いについて、関連する「総務」「事務」「雑務」といった言葉もあわせて整理してみました。
最後にもう一度、執務と庶務の違いのポイントをおさらいしますね。
- 執務 (Shitsumu) は
業務や職務を実際に行う「行為・動作」を指す言葉。 - 庶務 (Shomu) は
部署内の事務サポート全般を担当する「役割・職務」を指す言葉。
この根本的な違いが分かれば、「庶務担当者が執務室で執務する」といった使い方が正しいことも理解できるかなと思います。
言葉の意味を正しく理解して、日々のコミュニケーションや業務に役立てていきたいですね。
