夏の厳しい暑さが和らぎ、ふとした瞬間に秋の気配を感じる季節。ビジネス文書やプライベートな手紙で、季節感をどう表現すればよいか悩んだ経験はありませんか。特に夏終わりの時候の挨拶は、時期の判断が難しく、どのような言葉を選べば相手に失礼なく、かつ心のこもった印象を与えられるか迷うものです。
この記事では、8月下旬から9月上旬にかけて使える時候の挨拶について、基本的な知識から具体的な文例、相手との関係性に応じた使い分けまで、網羅的に解説します。この記事を読めば、もう時候の挨拶で迷うことはありません。
- 夏終わりの挨拶の基本的な使い分けがわかる
- 時期ごとの適切な表現を具体的に学べる
- ビジネスや手紙で使える文例が見つかる
- 相手に好印象を与える結びの言葉を知れる
基本的な夏終わりの時候の挨拶と時期の考え方
・8月下旬に使える時候の挨拶
・9月上旬にふさわしい時候の挨拶
・漢語調と口語調のスマートな使い分け
・挨拶で役立つ季節のキーワード
・相手の体調を気遣う一言を添える
8月下旬に使える時候の挨拶
8月下旬に手紙や文書を送る際は、「残暑の候」や「処暑の候」といった時候の挨拶が適しています。
その理由は、暦の上での季節区分である二十四節気が関係しています。8月23日頃は「処暑(しょしょ)」と呼ばれ、「暑さが止む」という意味を持つ季節に入ります。この処暑の時期から9月7日頃の「白露(はくろ)」の前までが、これらの挨拶を用いる目安となります。
例えば、「残暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」のように使います。実際にはまだ厳しい暑さが続いていることが多いですが、暦の上では秋へと向かっていることを示す、趣のある表現です。口語調であれば、「夏の疲れが出やすい時期ですが、いかがお過ごしでしょうか」のように、ストレートに季節感と相手への気遣いを伝えることができます。
このように、8月下旬には、過ぎゆく夏を惜しみつつも、次の季節の訪れを告げる言葉を選ぶのがポイントです。
✅ 8月下旬に使える時候の挨拶:要点まとめ
■ 基本的な時候の挨拶
- 適した表現
- 「残暑の候」
- 「処暑の候」
- 使う時期
- 処暑(8月23日頃)〜白露(9月7日頃)まで
- 背景
- 二十四節気に基づく季節の区分
- 暦の上では秋に向かう時期
- 気温とのギャップ
- 実際には暑さが続いているが、「秋の気配」を感じさせる表現が好まれる
📝 表現の例
表現タイプ | 文例 | 説明 |
---|---|---|
書き言葉(フォーマル) | 残暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 | ビジネス文書・手紙で使われる定型挨拶 |
口語調(カジュアル) | 夏の疲れが出やすい時期ですが、いかがお過ごしでしょうか。 | 会話文や親しい相手への文章に適している |
🌾 ポイント
- 暦を意識した「趣のある言葉選び」が好まれる
- 相手への気遣いや季節の移ろいを感じさせる表現が重要
- 暑さを労う言葉とともに、秋への橋渡しとなる表現を選ぶとよい
9月上旬にふさわしい時候の挨拶
9月上旬になると、秋の気配がより一層深まるため、「初秋の候」や「新涼の候」といった表現がふさわしくなります。
これらの言葉は、文字通り「秋の初め」や「新しい涼しさを感じる頃」を意味し、爽やかな秋風を感じさせる時候の挨拶です。8月下旬の「残暑」という言葉が持つ、まだ夏を引きずっているニュアンスから一歩進み、本格的な秋の到来を感じさせる点が大きな違いです。
具体的には、8月下旬は「処暑」の期間(8月23日頃~9月7日頃)であるため「残暑の候」が中心ですが、9月8日頃の「白露」を過ぎると、いよいよ秋本番。そのため、9月上旬でも日付によっては「初秋の候」の方がより適切になるケースがあります。
時期による表現の使い分け
時期 | 主な時候の挨拶 | 意味・背景 |
---|---|---|
8月下旬 | 残暑の候、処暑の候 | 夏の名残を感じつつも、暦の上では秋に入る時期 |
9月上旬(〜7日頃) | 初秋の候、新涼の候 | 涼しさが感じられ、秋の始まりを意識する時期 |
9月中旬以降 | 秋涼の候、秋晴の候など | 秋が本格化し、気温も安定してくる |
このように、送る日付を意識して言葉を選ぶことで、よりきめ細やかな心遣いを表現できます。もし迷った場合は、より広い期間で使える「初秋の候」を選ぶと大きな間違いはありません。
✅ 9月上旬に使える時候の挨拶:要点まとめ
■ 適した表現
- 「初秋の候」
- 意味:秋の始まりを表す
- 適用時期:9月初旬(特に9月1日〜7日)
- 「新涼の候」
- 意味:新しく感じられる涼しさ、初秋の涼しさを表現
- 清々しい季節感を演出
■ 季節の移ろいとの関係
- 8月下旬はまだ夏の余韻が残る → 「残暑の候」
- 9月に入ると朝夕に涼しさが増し、本格的な秋の訪れを感じ始める
- 9月8日頃の「白露」以降は、より秋らしい挨拶表現が増える
✉️ 表現例
表現タイプ | 文例 | 用途・特徴 |
---|---|---|
フォーマル | 初秋の候、皆様にはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。 | ビジネス書簡や公的文書に適している |
カジュアル | 朝晩は涼しくなってまいりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 | 親しい相手や私的な手紙に適している |
🌾 ポイント
- 送付する日付に応じて表現を選ぶことが重要
- 秋の訪れや季節の変わり目を感じさせる、繊細で品のある挨拶が好まれる
- 形式ばった挨拶も、相手への気遣いの気持ちを込めることが大切
漢語調と口語調のスマートな使い分け
時候の挨拶には、改まった印象を与える「漢語調」と、柔らかく親しみやすい「口語調」の二種類があり、送る相手や場面によって使い分けることが求められます。
漢語調は、「残暑の候」や「初秋の候」のように、主に漢字で構成された格式高い表現です。このため、ビジネス文書、目上の方への手紙、公的な通知状など、礼儀を重んじる場面で用いるのが一般的です。頭語「拝啓」や結語「敬具」とセットで使われることが多く、文章全体に格調高い雰囲気をもたらします。
一方、口語調は「朝夕は涼しい風が心地よい季節となりましたが、お元気でお過ごしでしょうか」といった、話し言葉に近い表現を指します。親しい友人や同僚、家族など、プライベートな間柄での手紙やメールに適しています。季節の情景や自身の体感を素直に言葉にすることで、相手との距離を縮め、温かみのあるコミュニケーションが生まれます。
このように、漢語調と口語調の違いを理解し、送る相手との関係性や文書の性質を考慮して最適な表現を選ぶことが、円滑な人間関係を築く上で鍵となります。
✅ 要点まとめ
■ 漢語調(格式高い文語表現)
- 特徴:
- 主に漢字で構成される(例:「初秋の候」「残暑の候」)
- 改まった印象、文章に格調を与える
- 使用シーン:
- ビジネス文書
- 目上の人への手紙
- 公的な案内や挨拶状など
- 構成例:
- 頭語「拝啓」+時候の挨拶(漢語調)+本文+結語「敬具」
■ 口語調(自然な話し言葉)
- 特徴:
- 話し言葉に近い、親しみやすい
- 季節感を具体的に描写(例:「朝夕は涼しい風が心地よい季節となりました」)
- 使用シーン:
- 親しい友人・家族への手紙やメール
- 同僚や後輩へのカジュアルな連絡
- メリット:
- 距離感を縮め、温かみのある印象を与える
📋 比較表:漢語調 vs 口語調
項目 | 漢語調 | 口語調 |
---|---|---|
表現例 | 初秋の候、ますますご清栄のことと〜 | 朝夕は涼しい風が心地よい季節となりましたが〜 |
雰囲気 | 改まった、礼儀正しい | 柔らかく親しみやすい |
用途 | ビジネス・目上の人・公的文書 | 親しい相手・プライベートな手紙やメール |
書き出し例 | 拝啓 初秋の候〜 | 最近ようやく涼しくなってきましたね。お元気ですか? |
結びの言葉 | 敬具、敬白など | それでは、お体に気をつけて。また連絡しますね。 |
🎯 使い分けのポイント
- 送る相手の立場を意識する(上司・取引先=漢語調、友人・家族=口語調)
- 文書の目的に応じて選ぶ(案内状・挨拶状=漢語調、近況報告やお礼状=口語調も可)
- 一文に混ぜない:文体は一貫性を保つのが基本
挨拶で役立つ季節のキーワード
時候の挨拶をより豊かに、そして個性的にするためには、季節感を象徴するキーワードを文章に盛り込むのが効果的です。
単に「残暑の候」と記述するだけでなく、その後に続く文章で具体的な情景を描写することで、受け取る側の心に響く挨拶状になります。例えば、夏の終わりから秋の初めにかけての風物詩を言葉にしてみましょう。
夏の終わりを感じさせるキーワードの例
- 天候や自然: 入道雲、ひぐらし、蝉しぐれ、熱帯夜、夕暮れ
- 植物や風景: ひまわり、赤とんぼ、稲穂
これらのキーワードを、「蝉の声も次第に静かになり、秋の気配を感じる今日この頃」や、「夕暮れが早くなり、ひぐらしの声に秋の訪れを感じる季節となりました」のように文章に組み込むだけで、ありきたりな挨拶から一歩進んだ、季節感あふれる表現に変わります。
もちろん、多くのキーワードを詰め込みすぎる必要はありません。一つか二つ、ご自身の心に留まった情景を言葉にするだけで、手紙全体が生き生きとしたものになるはずです。
✅ 要点まとめ
- 時候の挨拶を印象的にするコツは、情景描写を含めること。
- 「残暑の候」「初秋の候」などの定型句に加え、季節の風物詩をキーワードとして盛り込むと、表現が豊かになる。
- キーワードは1〜2個に絞って用いるのが◎(詰め込みすぎは避ける)。
- 読み手に季節の空気感を伝える工夫がポイント。
🌿 夏の終わり〜初秋を彩る季節のキーワード
カテゴリ | キーワード例 |
---|---|
天候・自然 | 入道雲、ひぐらし、蝉しぐれ、熱帯夜、夕暮れ |
植物・風景 | ひまわり、赤とんぼ、稲穂 |
✍️ キーワードを使った表現例
表現文例 | 解説 |
---|---|
蝉の声も次第に静かになり、秋の気配を感じる今日この頃 | 「蝉しぐれ」から「静けさ」への移り変わりを表現 |
夕暮れが早くなり、ひぐらしの声に秋の訪れを感じる季節となりました | 「ひぐらし」「夕暮れ」を使い、時の移ろいを描写 |
赤とんぼが舞う田園風景に、夏の名残と秋の気配が混じり合っています | 「赤とんぼ」+「季節の端境」を描いた感性豊かな一文 |
🎯 使い方のコツ
- 漢語調に情景を添える:
例:「初秋の候、夕暮れの空に赤とんぼが舞いはじめ、秋の気配が感じられるようになりました。」 - 口語調で自然に表現:
例:「日が暮れるのが少し早くなりましたね。ひぐらしの声に秋の足音を感じます。」
相手の体調を気遣う一言を添える
時候の挨拶において、季節の描写と同じくらい大切なのが、相手の健康を気遣う一言です。特に、夏から秋へと移り変わるこの時期は、体調を崩しやすい季節でもあります。
夏の間に蓄積した疲れ(いわゆる夏バテ)が、朝晩の気温差が大きくなることで一気に表面化することが少なくありません。このような背景を踏まえ、時候の挨拶に続けて「夏の疲れが出やすい時期ですが、くれぐれもご自愛ください」や、「季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください」といった言葉を添えることで、相手への深い思いやりが伝わります。
これは、単なる形式的な文章ではなく、相手の健康を心から願う気持ちの表れです。ビジネス文書であっても、このようなパーソナルな気遣いがあるだけで、受け取った側の印象は大きく変わるものです。
物理的に離れていても、手紙やメールを通じて相手を思いやる気持ちを届ける。そのために、体調を気遣う一言は非常に有効な手段と言えます。時候の挨拶とセットで、この習慣をぜひ取り入れてみてください。
✅ 要点まとめ
- 時候の挨拶には、季節の描写+相手の健康を気遣う言葉が揃ってこそ、丁寧で心のこもった印象に。
- 夏から秋への変わり目は体調を崩しやすい季節(例:夏バテ、気温差)。
- ちょっとした気遣いの言葉が、受け手の心に残るメッセージになる。
- ビジネスでもプライベートでも、形式以上の思いやりが伝わるポイント。
💬 体調を気遣う一言:例文集
トーン | 表現例 | 用途のヒント |
---|---|---|
丁寧・フォーマル | 季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。 | ビジネス文書、取引先、目上の方に |
穏やか・やや柔らかめ | 夏の疲れが出やすい頃ですが、どうかご無理なさらずお過ごしください。 | 同僚、知人などに幅広く |
親しみ・カジュアル | 朝晩が涼しくなってきましたね。どうぞ体調には気をつけて! | 友人、家族、SNS・メール文末などに |
感情を込めて | 暑さの疲れが出る頃かと思います。あなたが元気に過ごされていますように。 | プライベートな手紙、親しい相手向け |
📌 使い方のポイント
- 時候の挨拶のあとに自然につなげるのがベスト
例:「初秋の候、秋の気配が感じられる季節となりました。季節の変わり目ですので、どうぞお体を大切にお過ごしください。」 - 相手との関係性に応じて文体を調整
→ 丁寧語/敬語のレベルを意識する - 一文だけでも十分に効果的
→ 過剰に長く書かなくても、気遣いは伝わる
実用的な夏終わりの時候の挨拶と具体的な文例
・ビジネスシーンで好印象を与える使い方
・正式な手紙で用いる際のポイント
・メールで送る場合に注意すべきこと
・コピペで使える丁寧な例文集
・相手に寄り添う結びの言葉
ビジネスシーンで好印象を与える使い方
ビジネスシーンで夏終わりの時候の挨拶を用いる際は、礼儀正しさと相手への配慮を両立させることが好印象につながります。
まず基本となるのは、漢語調の挨拶を選ぶことです。「残暑の候」や「初秋の候」といった格調高い表現は、取引先や顧客に対して敬意を示す上で最適です。これに続けて、「貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」や「平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます」といった安否や感謝の言葉をつなげるのが定型です。
しかし、注意点もあります。時候の挨拶が長すぎると、本題が分かりにくくなる可能性があります。特にメールの場合は簡潔さが求められるため、状況に応じて口語調の「残暑厳しい折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます」のような、少し柔らかな表現を選ぶのも一つの手です。
大切なのは、形式にこだわりすぎず、送る相手との関係性や企業の文化を考慮することです。丁寧でありながらも、温かみが感じられる一文を添えることで、良好なビジネス関係の維持・発展に貢献します。
✅ 要点まとめ
- 礼儀+思いやりのバランスが、ビジネスでは好印象の鍵。
- 基本は漢語調を使う → 「残暑の候」「初秋の候」など。
- 定型表現を用いながら、相手への感謝や健康を気遣う一言を添える。
- メールでは簡潔さが重要。柔らかい口語調への調整も場面によっては有効。
- 重要なのは、相手・場面・企業文化に応じた言葉選び。
📋 ビジネスで使える表現例とポイント
シーン別 | 表現例 | ポイント |
---|---|---|
手紙・文書(正式) | 残暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 | 格式重視の書き出し。拝啓・敬具とセットで使用。 |
お礼状・案内状 | 初秋の候、平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。 | 感謝+時候の挨拶で誠意を示す。 |
メール(簡潔) | 残暑厳しき折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。 | 柔らかく、メール向きのスッキリ表現。 |
クライアントとの関係強化 | まだ暑い日が続いておりますが、どうぞご自愛くださいませ。 | 体調への気遣いを添えると好印象に。 |
💡 使い方のコツ
- 冒頭1~2文に収める
→ 本題に早く入ることで、読みやすく誠実な印象に。 - 慣用句を効果的に使う
→ 「ご清栄」「ご盛業」「ご自愛」など、業界や相手に応じた選択を。 - 相手に合わせた調整
→ 堅い表現が合わない場合は、口語寄りの丁寧語で対応してもOK。
✍️ 文例テンプレート(正式+簡潔)
📄 正式な文書用(例:お礼状)
拝啓 初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
(以下本題)
📧 メールや短文向け
残暑厳しい折、皆様にはお変わりなくお過ごしのことと存じます。
日頃よりご愛顧賜り、心より感謝申し上げます。
(以下本題)
正式な手紙で用いる際のポイント
ビジネス文書の中でも、特に役員交代の挨拶状や式典の招待状など、より正式な手紙を書く際には、構成全体の流れとマナーを意識することが不可欠です。
正式な手紙は、基本的に「前文」「主文」「末文」「後付」の4つの要素で構成されます。時候の挨拶は、このうちの「前文」に含まれる要素です。
手紙の基本構成
- 前文: 頭語(拝啓、謹啓など)に続き、時候の挨拶、そして相手の安否や繁栄を祝う言葉を記述します。
- 主文: 「さて、」「このたびは」などの言葉で始め、手紙の本題を述べます。
- 末文: 結びの挨拶(今後の厚情を願う言葉や、相手の健康・発展を祈る言葉)と、結語(敬具、謹言など)で締めくくります。
- 後付: 日付、差出人名、宛名を記述します。
このように、時候の挨拶は手紙全体の構成の一部であり、その前後の要素と調和している必要があります。例えば、頭語に「謹啓」を用いた場合は、より丁寧な言葉遣いが求められます。夏終わりの挨拶を選ぶ際も、文書全体の格調に合わせて、最もふさわしい言葉を選ぶ配慮が大切になります。
✅ 正式な手紙における基本構成
構成要素 | 内容 | ポイント |
---|---|---|
前文 | 頭語 → 時候の挨拶 → 相手の安否・繁栄を祝う言葉 | 文面の丁寧さと流れを整える。時候の挨拶はここに含まれる。 |
主文 | 本題(用件) | 「さて」「このたびは」などで始めるのが定番。要件は簡潔に明確に。 |
末文 | 結びの挨拶 → 結語 | 相手の健康・今後の関係性に言及し、丁寧に締める。 |
後付 | 日付・差出人・宛名 | 縦書きでは通常、手紙の最後に記載。 |
🗒️ 時候の挨拶を使う際のポイント
項目 | 説明 |
---|---|
適切な表現 | 「残暑の候」「初秋の候」など、季節に合った漢語調を使用 |
調和性 | 頭語・結語の格調に合わせた言葉遣いにする(例:「謹啓」→「謹言」) |
言い回し例 | 「初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」など |
丁寧語の一貫性 | 文全体で丁寧・改まった表現を崩さない |
📄 文例(役員交代のお知らせなどに使える構成例)
謹啓 初秋の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、私ことこのたび◯月◯日付をもちまして、◯◯株式会社の代表取締役社長を退任いたしました。
後任には◯◯◯◯が就任いたしましたので、ここにご報告申し上げます。
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもってご挨拶申し上げます。
謹言
令和◯年◯月◯日
◯◯株式会社
代表取締役会長 ◯◯◯◯ 様
🎯 まとめ:好印象につながる工夫
- 頭語・時候の挨拶・本題・結語の流れを守る → 読みやすさ・信頼感に直結
- 季節と格調に合った言葉選び → 文書全体のトーンを揃える
- 感情を抑えつつ誠意を伝える → ビジネスとしてのバランスを重視
メールで送る場合に注意すべきこと
ビジネスメールで時候の挨拶を送る場合、手紙とは異なるいくつかの注意点が存在します。最も大きな違いは、簡潔さとスピード感が重視される点です。
手紙のように格式張った時候の挨拶は、メールではかえって堅苦しい印象を与えたり、要点が伝わりにくくなったりする可能性があります。そのため、社内のやり取りや、頻繁に連絡を取り合っている相手には、時候の挨拶を省略してすぐに本題に入ることも少なくありません。
ただし、初めて連絡する相手や、目上の方、お中元のお礼など、丁寧なコミュニケーションが求められる場面では、時候の挨拶を入れることで好印象を与えられます。その際は、「拝啓」「敬具」は省略し、「残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。」のような、簡潔な口語調の挨拶から始めるのがスマートです。
また、メールの件名で時候の挨拶に触れるのは避けましょう。件名は、メールの内容が一目で分かるように「【株式会社〇〇】〇〇のお見積もり送付の件」のように、具体的かつ簡潔に記載するのがマナーです。
✅ ビジネスメールならではの注意点
項目 | 内容 | 補足 |
---|---|---|
簡潔さが最優先 | メールでは冗長な挨拶は避け、端的に | 読み手の時間を意識した配慮 |
口語調が基本 | 「〜の候」などの漢語調より、「残暑が続いておりますが〜」などが適切 | 柔らかくも丁寧な印象を与える |
頭語・結語は不要 | 「拝啓」「敬具」などはメールでは省略 | フォーマットが異なるため不要 |
件名に時候の挨拶は不要 | 件名は用件を明確に | 例:「〇〇のご案内」「見積書送付の件」など |
相手・シーンで判断 | 初対面・目上・フォーマルな場面では挨拶文を入れると効果的 | カジュアルなやり取りでは省略してOK |
📝 時候の挨拶を入れるかどうかの判断基準
相手との関係 | 挨拶の必要性 | 例文(ある場合) |
---|---|---|
初めての連絡 | ◎(入れるべき) | 「残暑厳しい折、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」 |
目上・役職者 | ◎ | 「季節の変わり目ですが、いかがお過ごしでしょうか。」 |
取引先(日常連絡) | △(短く、場合による) | 「まだまだ暑い日が続きますが、お元気でお過ごしでしょうか。」 |
社内や頻繁な連絡相手 | ✕(不要なことが多い) | なしで即本題に入るのが一般的 |
💬 メールで使える自然な時候の挨拶(簡潔・口語調)
季節 | 表現例 |
---|---|
夏の終わり | 残暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 |
初秋 | 朝夕は涼しくなってまいりましたが、引き続きご自愛ください。 |
季節を問わず | 季節の変わり目ですので、お体にお気をつけください。 |
📌 まとめ:メール時候の挨拶・好印象のコツ
- 目的と相手に応じて挨拶を調整する
- 挨拶は1文以内、丁寧かつ簡潔に
- 件名は要件を明確に書く
- 本題までに読者を待たせない
コピペで使える丁寧な例文集
ここでは、実際に使える夏終わりの時候の挨拶の例文を、ビジネス向けとプライベート向けに分けてご紹介します。状況に合わせて適宜修正してご活用ください。
ビジネス文書・公式な手紙の例文
- 8月下旬の例文: 拝啓 残暑の候、貴社におかれましては、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 9月上旬の例文: 拝啓 初秋の候、〇〇様におかれましては、いよいよご清祥のこととお慶び申し上げます。さて、このたびは…
個人的な手紙・親しい関係の例文
- 8月下旬の例文: まだまだ暑い日が続いておりますが、お変わりなくお過ごしでしょうか。夏の疲れが出やすい頃ですので、どうぞ無理なさらないでくださいね。
- 9月上旬の例文: 朝夕はだいぶ涼しくなり、過ごしやすい季節となりました。皆様、お元気でいらっしゃいますか。
これらの例文を基本とし、ご自身の言葉で相手への気遣いを少し加えるだけで、より心のこもった文章になります。
📂 ビジネス文書・公式な手紙向け
🔹 8月下旬(残暑の候・処暑の候)
例文①:一般的なビジネス挨拶(拝啓~敬具形式)
拝啓 残暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
さて、(本題)……
敬具
例文②:目上の方・役員宛て
拝啓 処暑の候、貴殿にはいよいよご健勝のこととお慶び申し上げます。
日頃より格別のご厚情を賜り、心より御礼申し上げます。
🔹 9月上旬(初秋の候・新涼の候)
例文①:商談・通知などに
拝啓 初秋の候、貴社におかれましては、ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
平素よりご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、(本題)……
敬具
例文②:式典・案内状など
謹啓 新涼の候、皆様にはますますご健勝のことと拝察申し上げます。
日頃より格別のお引き立てを賜り、心より感謝申し上げます。
💌 個人的な手紙・親しい関係向け
🔸 8月下旬
例文①:親しい友人へ
まだまだ暑い日が続いていますが、お変わりありませんか。
夏の疲れが出やすい頃ですので、どうぞご自愛くださいね。
例文②:年配の知人や恩師へ
残暑厳しき折、いかがお過ごしでしょうか。
日ごとに秋の気配も感じられるようになってまいりました。
お身体にはどうぞお気をつけてお過ごしください。
🔸 9月上旬
例文①:家族・身内向け
朝夕はだいぶ涼しくなり、ようやく過ごしやすい日が増えてきましたね。
季節の変わり目、どうか体調を崩されませんように。
例文②:ちょっとしたお礼や報告に添えて
新涼の季節となり、秋の虫の声にも心和む頃となりました。
お元気でお過ごしでしょうか。
✨ ワンポイントアドバイス
- ビジネス文書では「拝啓〜敬具」「謹啓〜謹言」など頭語と結語の対応に注意。
- カジュアルな文では1〜2文に簡潔にまとめ、あたたかい気遣いを忘れずに。
- そのまま使っても、相手の名前や具体的な近況を一言加えると、より親身な印象になります。
相手に寄り添う結びの言葉
時候の挨拶が書き出しの言葉であるのに対し、手紙やメールの最後を締めくくるのが「結びの言葉」です。書き出しと同様に、季節感を盛り込みつつ、相手の健康や幸福を祈る言葉を選ぶのが一般的です。
夏終わりの時期に適した結びの言葉には、以下のようなものがあります。
漢語調(ビジネス・目上向け)の結び
- 残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。
- 新涼の候、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
- 秋冷の折、くれぐれもご無理なさらないでください。
口語調(プライベート向け)の結び
- 夏の疲れが出ませんよう、どうぞお体を大切にお過ごしください。
- 実り多き秋を迎えられますよう、お祈りしております。
- 朝夕は冷え込む日もございますので、暖かくしてお過ごしください。
書き出しの挨拶と結びの言葉で季節感を合わせることで、文章全体に統一感が生まれます。相手の今後の活躍や健康を願う気持ちを、季節の言葉に乗せて伝えましょう。
🏢 漢語調(ビジネス・目上向け)
フォーマルで礼儀正しい印象を与える言い回し。結語(敬具・謹言など)とセットで使います。
表現 | 使用タイミング・用途 |
---|---|
残暑厳しき折、どうぞご自愛くださいませ。 | 8月下旬〜9月初旬/定番の健康配慮表現 |
新涼の候、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 | 9月上旬以降/取引先や式典案内などで好印象 |
秋冷の折、くれぐれもご無理なさらぬようお願い申し上げます。 | 9月中旬以降/やや落ち着いた印象 |
季節の変わり目、皆様のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。 | 社内外を問わず幅広く使用可 |
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますよう、お願い申し上げます。 | 結びの定番/人間関係の継続を願う場面に最適 |
💌 口語調(プライベート・親しい相手向け)
柔らかく親しみのある表現。自然体で心を込めたいときに適しています。
表現 | 使用シーン・雰囲気 |
---|---|
夏の疲れが出ませんよう、どうぞお体を大切にお過ごしください。 | 友人・家族・恩師などにぴったり |
朝夕は冷え込む日もございますので、暖かくしてお過ごしください。 | 気候変化への気遣いが伝わる |
実り多き秋を迎えられますよう、お祈りしています。 | 季節を喜びとともに伝える優しい印象 |
まだ暑さの残る日が続きますが、どうぞご自愛くださいね。 | 8月末〜9月頭の移り変わりに最適 |
次にお会いできる日を楽しみにしています。 | 親しい関係や再会予定がある相手に◎ |
✨ 使い方のコツ
- 時候の挨拶とセットで季節感をそろえる
→ 例:「初秋の候」+「朝夕は涼しくなってまいりました。どうぞお体に気をつけてお過ごしください。」 - 文末で印象が決まる
→ 最後の一文で、温かさや誠意をしっかり伝える。 - 丁寧語・敬語を一貫して使用(ビジネス文書の場合)
→ 「ご自愛くださいませ」「お祈り申し上げます」など敬語レベルに注意。
総括:状況に応じた夏終わりの時候の挨拶を選ぼう
- 夏終わりの挨拶は8月下旬と9月上旬で表現が変わる
- 8月下旬は「残暑の候」「処暑の候」が一般的
- 9月上旬は「初秋の候」「新涼の候」がふさわしい
- ビジネスや目上には改まった「漢語調」を用いる
- 親しい間柄には柔らかい「口語調」が適している
- 漢語調は「拝啓」などの頭語とセットで使う
- 口語調は相手を気遣う言葉をストレートに伝えやすい
- 二十四節気を意識すると、より適切な言葉を選べる
- 8月23日頃は「処暑」、9月8日頃は「白露」が目安
- 季節感を表すキーワードを盛り込むと表現が豊かになる
- 「ひぐらし」や「赤とんぼ」などが季節のキーワード例
- 相手の体調を気遣う一言は思いやりを伝える上で大切
- ビジネスメールでは時候の挨拶を簡潔にするか省略する場合もある
- 手紙の結びの言葉も時候の挨拶と季節感を合わせる
- 最も大切なのは相手への敬意と思いやりを込めること