梅雨が明け、本格的な夏の訪れを感じる7月。俳句や手紙で季節感を表現するために、7月の季語について知りたいと考えている方も多いのではないでしょうか。7月季語一覧を探していると、美しい植物や花の名前、さらにはビジネスシーンで役立つ挨拶文の表現など、多くの言葉に出会います。
しかし、有名な俳句で使われる季語の背景や、手紙で使う際の上旬・下旬での使い分け、正しい挨拶文の書き方など、知りたい情報は多岐にわたるはずです。この記事では、そんなあなたの疑問に寄り添い、7月の季語に関する情報を網羅的に解説します。
- 分類別に整理された7月の季語が分かる
- 有名な俳句や美しい言葉に込められた情景に触れられる
- ビジネスやプライベートの手紙で使える挨拶文が学べる
- 季語を正しく効果的に使うための注意点が理解できる
分類から探す7月季語一覧
・美しい響きを持つ7月の季語
・夏の生命力を感じさせる植物
・句に詠みたい代表的な花の名前
・有名な俳句から季語を学ぶ
・使う際に注意したい季語
美しい響きを持つ7月の季語
7月の季語には、夏の厳しい暑さの中にも、どこか涼やかさや静けさを感じさせる美しい響きの言葉が多く存在します。これらの言葉は、単に季節を示すだけでなく、その瞬間の空気感や情景を豊かに描き出す力を持っています。
なぜなら、7月は盛夏でありながら、俳句の世界では秋の気配が近づく「晩夏」に位置づけられるため、力強さと繊細さが同居する季節だからです。例えば、「涼風(りょうふう)」や「夕凪(ゆうなぎ)」は、日中の暑さが和らぐ夕刻の心地よさを表現し、聞くだけで心が落ち着くような響きがあります。
また、「花氷(はなごおり)」のように、氷の中に色とりどりの花を閉じ込めた涼しげな飾りは、視覚的な美しさと涼感を同時に伝える季語です。このように、五感に訴えかける言葉を選ぶことで、単なる季節の報告ではなく、情趣に富んだ表現が可能になります。
これらの美しい季語を理解し使いこなすことは、日本の四季が持つ細やかな美意識に触れることにもつながります。
✅ 要点まとめ
- 7月の季語には、美しい響きや涼しさ・静けさを感じさせるものが多い。
- 単なる季節の目印でなく、空気感や情景を豊かに表現する力がある。
- 俳句の世界では、7月は「晩夏」とされ、力強さと繊細さが混在する時期。
- 涼やかな響きをもつ例:「涼風」「夕凪」
- 暑さがやわらぐ夕方の心地よさを象徴。
- 視覚と感覚に訴える例:「花氷」
- 氷に花を閉じ込めた、見た目も涼しげな飾り。
- 季語の活用は、日本独特の四季の美意識を感じる手段にもなる。
📘 美しい響きを持つ7月の季語(表)
季語 | 読み方 | 特徴・情景 | 感じさせるもの |
---|---|---|---|
涼風 | りょうふう | 夕方に吹くさわやかな風 | 涼しさ・静けさ |
夕凪 | ゆうなぎ | 夕方、風がやんで海が静まる瞬間 | 穏やかさ・落ち着き |
花氷 | はなごおり | 氷の中に花を閉じ込めた涼感ある装飾 | 美しさ・涼感・視覚美 |
夏の生命力を感じさせる植物
7月の季語の中には、夏の強い日差しを浴びて力強く成長する植物の姿を描写したものが数多くあります。これらの季語は、季節の生命力を象徴しており、文章や俳句に躍動感を与えてくれます。
その理由は、この時期の植物が持つ圧倒的なエネルギーが、見る人に夏の本格的な到来を実感させるからです。代表的な例として「向日葵(ひまわり)」が挙げられます。太陽に向かってまっすぐに伸びる姿は、まさに夏の象徴と言えるでしょう。
他にも、風にそよぐ「青田(あおた)」は、これから迎える実りの秋を予感させながらも、見渡す限りの緑が夏の広がりと力強さを感じさせます。また、驚くほどの速さで生い茂る「葎茂る(むぐらしげる)」という季語は、少し目を離した隙に伸びる雑草のたくましさを通して、夏の強烈な生命力を表現するものです。
これらの季語は、単に植物の名前を挙げるだけでなく、その成長する様子やたたずまいを通して、夏のエネルギーを効果的に伝える役割を担っています。
✅ 要点まとめ
- 7月の植物に関する季語は、夏の太陽のもとで力強く成長する様子を描いている。
- 植物の成長する様や姿が、夏の生命力や季節のエネルギーを象徴している。
- これらの季語は、俳句や文章に躍動感とリアリティを与える。
- 季語は単なる植物名ではなく、その姿・変化・動きまでを含んだ表現となっている。
🌿 夏の生命力を感じさせる植物の季語(表)
季語 | 読み方 | 特徴・情景 | 表すもの |
---|---|---|---|
向日葵 | ひまわり | 太陽に向かってまっすぐ伸びる、夏の代表的な花 | 夏の象徴、生命力、明るさ |
青田 | あおた | 青々とした稲が広がる田んぼ、風にそよぐ姿 | 実りの予感、成長、爽やかさ |
葎茂る | むぐらしげる | 雑草が目を見張るほど勢いよく生い茂る | 生命の力強さ、勢い、自然の圧力 |
句に詠みたい代表的な花の名前
7月は、夏の暑さの中で凛と咲く美しい花々が多く見られる季節であり、これらは俳句の題材として古くから愛されてきました。気品のある花から可憐な花まで、その姿は夏の情景を豊かに彩ります。
この時期の花が句材として好まれるのは、その多くが水辺や朝夕の涼しい時間帯に印象的な姿を見せ、人の心に深く刻まれるからです。例えば、「蓮(はす)」の花は、泥の中から清らかな花を咲かせる姿が尊ばれ、仏教的な世界観とも結びついてきました。早朝に開花し、昼には閉じてしまう儚さもまた、句作りのインスピレーションをかき立てます。
7月を代表する花とその特徴
🌸 句に詠みたい代表的な7月の花(表)
花の名前 | 読み方 | 特徴・情景 | 象徴するもの |
---|---|---|---|
蓮 | はす | 泥中から咲く清らかな花。早朝に開き、昼に閉じる。仏教とも深く関係。 | 清浄・静けさ・精神性・儚さ |
睡蓮 | すいれん | 水面に咲き、涼感がある。夕方には閉じる。 | 水辺の涼・静けさ・優美さ |
合歓の花 | ねむのはな | 夕方から咲き、刷毛のような繊細な花をつける。 | 繊細さ・夕涼み・幻想 |
夕顔 | ゆうがお | 日没後に咲き、白く大きな一日花。翌朝しぼむ。 | 儚さ・夕暮れ・哀愁 |
月下美人 | げっかびじん | 夜にのみ咲き、香り高く大輪。一夜限りの開花。 | 神秘・一瞬の美・艶やかさ |
これらの花々は、単に美しいだけでなく、開花する時間帯やその生態に特徴があり、夏の時間の流れや季節の移ろいを表現するのに最適な季語と言えます。
✅ 要点まとめ
- 7月は、夏の暑さの中で美しく咲く花々が多く、俳句の句材として好まれてきた。
- これらの花は、水辺や涼しい時間帯(早朝・夕方・夜)に印象的な姿を見せ、心に残る情景を作る。
- 花の咲き方・時間帯・儚さなどが句作りのインスピレーションになる。
- 「蓮(はす)」は特に象徴的で、仏教的な精神性や清らかさ、儚さを表す花。
- 多くの花が一夜限り、または朝夕に咲くなど、時間との対話が特徴。
有名な俳句から季語を学ぶ
季語の持つ本来の情景やニュアンスを深く理解するためには、過去の俳人たちが詠んだ有名な俳句に触れるのが最も効果的な方法です。一句に込められた世界観を味わうことで、言葉の背景にある豊かなイメージを掴むことができます。
なぜなら、優れた俳句は、わずか17音の中に、季語が最も活きる情景を見事に切り取っているからです。作者がどのような視点でその季語を捉え、表現したかを知ることは、自らが季語を使う際の大きなヒントになります。
7月の季語を用いた代表的な俳句
📘 有名俳句と季語の鑑賞一覧(表)
俳句 | 作者 | 季語 | 解釈・情景描写 |
---|---|---|---|
水晶の 念珠つめたき 大暑かな | 日野草城 | 大暑 | 一年で最も暑い日に、冷たい水晶の念珠を手にする感覚。暑さと冷感の対比が印象的。 |
梅雨あけの 鎌倉くらき 旋風かな | 石橋秀野 | 梅雨明 | 梅雨が明けたばかりの暗い鎌倉で、突如として起こるつむじ風。自然の激しさと変化。 |
涼風や 寄る辺もとむる 蔓のさま | 臼田亜浪 | 涼風 | 涼しい風が吹く中、つる植物がどこかに絡もうと伸びる様子。風の動きを可視化。 |
空蝉の ふんばつて居て 壊はれけり | 前田普羅 | 空蝉 | 抜け殻がまるで生きているかのように木に残るが、壊れてしまう。儚さと生命の余韻。 |
このように、具体的な句を通じて季語を学ぶことで、辞書的な意味だけでは分からない、言葉の持つ奥行きや感情を体感することができるのです。
✅ 要点まとめ
- 季語を深く理解するには、有名な俳句を通して学ぶことが効果的。
- 優れた俳句は、季語の情景や感情を的確に17音で表現している。
- 過去の俳人たちの視点・感性を味わうことで、自分の句作りにも活かせるヒントが得られる。
- 7月の季語は、暑さ・涼しさ・風・生命・儚さなど、多様なテーマと結びついている。
🎯 学びのポイント
- 情景+感覚+季語が融合することで、一句の中に広がる世界観が生まれている。
- 季語は、単なる「言葉」ではなく、感情・記憶・文化背景を呼び起こすトリガーになる。
- 自分でも俳句を詠む際に、こうした俳人の視点の切り取り方を参考にすることで、より深みのある表現が可能になる。
使う際に注意したい季語
7月の季語を使用する際には、現代の季節感と俳句の暦(旧暦や二十四節気)との間にずれがあるため、いくつかの注意が必要です。この違いを理解しないまま使うと、意図しない季節感の句になってしまう可能性があります。
最も注意すべきは、俳句の世界では7月は「晩夏(ばんか)」、つまり夏の終わりとされている点です。立秋(8月8日頃)を過ぎると暦の上では秋になるため、7月には秋の到来を感じさせる季語が登場します。
特に間違いやすい季語の例
- 秋近し(あきちかし): 7月は夏本番ですが、暦の上で秋が近いことを示す晩夏の季語です。日常会話の感覚で使うと違和感があるかもしれませんが、俳句では頻繁に用いられます。
- 西瓜(すいか): 夏の果物の代表格ですが、俳句では秋の季語に分類されます。これは、収穫の最盛期が立秋以降であることや、伝統的な歳時記の分類に基づいています。
- 七夕(たなばた): 現在の七夕は7月7日ですが、本来は旧暦の7月7日(現在の8月頃)に行われていた行事のため、秋の季語となります。同じ理由で「天の川」も秋の季語です。
これらの季語は、知識がないと季節を誤解しやすい代表例です。季語を使う際は、その言葉がどの季節に分類されているのかを歳時記などで一度確認する習慣をつけることが大切です。
✅ 要点まとめ
- 俳句では旧暦や二十四節気に基づいた季節感が用いられるため、現代の暦感覚とはずれがある。
- 7月は俳句の世界では「晩夏(ばんか)=夏の終わり」とされる。
- そのため、7月に登場する季語には秋の気配を含むものが多い。
- 普段の感覚で季語を選ぶと、意図と異なる季節感を出してしまう可能性がある。
- 季語の正確な季節分類は、歳時記での確認が重要。
🌀 特に注意したい季語一覧(表)
季語 | 読み方 | 俳句での季節分類 | 注意点・誤解しやすいポイント |
---|---|---|---|
秋近し | あきちかし | 晩夏 | 日常ではまだ夏真っ盛りの印象だが、俳句では「秋の気配」がテーマ。 |
西瓜 | すいか | 秋 | 夏の風物詩のイメージが強いが、収穫期が立秋以降であるため「秋の季語」。 |
七夕 | たなばた | 秋 | 現在は7月7日だが、旧暦では8月に行われていたため「秋の季語」とされる。 |
天の川 | あまのがわ | 秋 | 七夕と結びついており、夜空の情景とともに秋の句として扱われる。 |
🎯 実践ポイント
- 歳時記や信頼できる季語辞典を確認する習慣をつけると、俳句の季節感を誤るリスクが減ります。
- 現代感覚に合わせる必要がある場合は、「前書き」や「解説」を添えて使うのも一つの方法です。
- 季語は文学的な伝統に裏打ちされた時代の感覚で運用されるため、慣れが大切です。
手紙で活かす7月季語一覧
・ビジネスで使える時候の挨拶
・上旬に最適な時候の挨拶文
・下旬にふさわしい時候の挨拶
・手紙に季節感を添える結び
ビジネスで使える時候の挨拶
ビジネス文書において、時候の挨拶は本題に入る前の潤滑油のような役割を果たします。特に、季語を用いた漢語調の挨拶は、手紙やメールに格調と礼儀正しさを与え、相手に丁寧な印象を届けます。
これは、定型的な表現を用いることで、相手への敬意とビジネスマナーをわきまえていることを示せるからです。7月に使える漢語調の挨拶は、時期によって使い分けるのが一般的です。
7月全般で使える挨拶
梅雨明け後からであれば、「盛夏(せいか)の候」が使用できます。「盛夏の折、貴社におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。」のように使います。
時期に応じた挨拶
- 7月上旬~中旬: 「小暑(しょうしょ)の候」
- 7月下旬: 「大暑(たいしょ)の候」や「炎暑(えんしょ)の候」
これらの「~の候」は、「~の折」や「~のみぎり」に置き換えることも可能です。相手との関係性や文書の格に応じて使い分けると、より洗練された印象になります。季節感を大切にすることで、心遣いの伝わるビジネスコミュニケーションが実現します。
✅ 要点まとめ
- 時候の挨拶は、ビジネス文書やメールで本題に入る前の礼儀や心配りを伝える重要な要素。
- 特に漢語調(~の候)は、格調高く、丁寧な印象を与える。
- 7月の時候の挨拶は、時期によって使い分けるのがマナー。
- 「~の候」は「~の折」「~のみぎり」に置き換えも可能で、相手や文面の格に合わせて調整できる。
📅 7月に使える漢語調の時候の挨拶(表)
時期 | 挨拶表現 | 用例(文頭) |
---|---|---|
7月上旬〜中旬 | 小暑の候(しょうしょ) | 小暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 |
7月全般〜梅雨明け | 盛夏の候(せいか) | 盛夏の折、皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます。 |
7月下旬 | 大暑の候(たいしょ) | 大暑の候、貴社におかれましてはご隆盛の段、心よりお慶び申し上げます。 |
同じく7月下旬 | 炎暑の候(えんしょ) | 炎暑のみぎり、ますますご活躍のことと拝察いたします。 |
💡 実用アドバイス
- ビジネスメールでは、冒頭に以下のような構成で使うのが一般的です:
拝啓
盛夏の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
- 漢語調を堅く感じる場合や親しみを込めたい場合は、和語調(例:蒸し暑い日が続いておりますが~)も検討できます。
上旬に最適な時候の挨拶文
7月上旬は、多くの地域で梅雨の終わりと夏の始まりが交差する、季節の変わり目にあたる時期です。このため、手紙の時候の挨拶では、その微妙な季節の動きに触れることで、きめ細やかな心遣いを表現できます。
この時期の挨拶は、梅雨が明けたかどうかという実際の天候に合わせて言葉を選ぶことが鍵となります。
漢語調(改まった手紙やビジネス文書)
梅雨がまだ明けていない場合は、「長雨(ながあめ)の候」が適しています。また、7月7日までは七夕にちなんで「七夕(たなばた)の候」も使えます。 例文:「小暑の折、〇〇様におかれましては、ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。」
口語調(親しい間柄の手紙やメール)
口語調では、より具体的な情景を描写する表現が好まれます。 「梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。」 「色とりどりの七夕飾りを目にする頃となりました。皆様お元気でいらっしゃいますか。」 このように、相手が身近に感じる情景を言葉にすることで、よりパーソナルで温かみのある挨拶になります。
📌 漢語調(ビジネス・改まった手紙向け)
状況 | 季語表現 | 挨拶文例 |
---|---|---|
梅雨が続いている場合 | 長雨の候 | 拝啓 長雨の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 |
七夕の頃(7月7日前後) | 七夕の候 | 拝啓 七夕の候、皆様にはますますご健勝のこととお喜び申し上げます。 |
夏の始まり(暦の上で) | 小暑の候/小暑の折 | 拝啓 小暑の折、貴社いよいよご隆盛のこととお慶び申し上げます。 |
※「の候」は「の折」「のみぎり」に置き換えると、やや柔らかい印象になります。
📌 口語調(親しい相手への私信・カジュアルなメール)
表現テーマ | 挨拶文例 |
---|---|
梅雨の終わり | 梅雨明けが待ち遠しいこの頃ですが、お変わりなくお過ごしでしょうか。 |
七夕の情景 | 色とりどりの七夕飾りを目にする季節となりました。いかがお過ごしですか。 |
季節の移り変わり | 暑さの中にも、どこか梅雨の名残を感じる日々が続いております。 |
相手への気づかい | 体調を崩しやすい季節ですが、どうぞご自愛ください。 |
✒ 書き出し例(組み合わせ例)
拝啓 小暑の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。
下旬にふさわしい時候の挨拶
7月下旬になると、梅雨は完全に明け、一年で最も暑さが厳しくなる時期を迎えます。時候の挨拶も、この猛暑を反映し、相手の健康を気遣う言葉を選ぶことが大切です。
なぜなら、この時期は夏バテや熱中症など、体調を崩しやすい季節でもあるため、相手の体を思いやる一言が、心に響く挨拶となるからです。暑中見舞いを送るのにも最適なタイミングです。
漢語調(改まった手紙やビジネス文書)
二十四節気の「大暑」を用いるのが一般的です。「大暑の候」のほか、「炎暑の候」「酷暑の候」など、暑さの厳しさを表す言葉が数多くあります。 例文:「大暑のみぎり、貴社ますますご隆盛のこととお慶び申し上げます。」
口語調(親しい間柄の手紙やメール)
厳しい暑さをストレートに表現しつつ、相手を気遣う言葉を続けます。 「梅雨明け後の猛暑が続いておりますが、夏バテなどされていませんでしょうか。」 「日中は蝉時雨が賑やかに降り注ぐ季節となりましたが、いかがお過ごしですか。」 こうした挨拶は、共通の季節感を分かち合い、相手との距離を縮める効果も期待できます。
✅ ポイント整理
- 7月下旬は「大暑」(二十四節気)を迎える、一年で最も暑い時期。
- 相手の体調を気づかう文面が、ビジネスでも私信でも好印象。
- 「暑中見舞い」を送るのに適したタイミング。
- 漢語調は格式高く丁寧に、口語調は温かく親しみやすく伝えるのがコツ。
📘 漢語調(ビジネス文書・改まった手紙)
季語表現 | 用例(文頭) |
---|---|
大暑の候 | 拝啓 大暑の候、貴社ますますご繁栄のこととお慶び申し上げます。 |
炎暑の候 | 拝啓 炎暑の候、皆様におかれましてはますますご健勝のことと存じます。 |
酷暑の候 | 拝啓 酷暑の候、平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。 |
※「の候」は「の折」「のみぎり」と言い換え可能(やや柔らかい印象)。
✉ 口語調(私信・親しい間柄のメール)
テーマ | 挨拶文例 |
---|---|
猛暑の表現 | 梅雨明け後の猛暑が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。 |
蝉の季節 | 日中は蝉しぐれがにぎやかに降り注いでおります。体調など崩されていませんか。 |
気遣いをこめて | 暑さ厳しき折、くれぐれもご自愛くださいますようお祈り申し上げます。 |
📄 組み合わせ例(ビジネス用冒頭文)
拝啓 炎暑の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。
手紙に季節感を添える結び
時候の挨拶が手紙の導入部であるのに対し、結びの挨拶は手紙全体を締めくくる重要な部分です。書き出しと同様に、結びにも季節感を取り入れることで、手紙に統一感が生まれ、最後まで相手への配慮が伝わります。
手紙の最後で改めて季節に触れ、相手の健康や繁栄を祈る言葉を添えることで、より丁寧で心に残る印象を与えることができます。7月の結びの挨拶は、やはり厳しい暑さを乗り越えるための気遣いが中心となります。
ビジネス文書の場合
今後の変わらぬ関係をお願いする言葉と共に、相手の企業の発展を祈る表現がよく使われます。 「炎暑の折、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。」 「時節柄、くれぐれもご自愛専一にてお願い申し上げます。」
プライベートな手紙の場合
よりパーソナルな言葉で、相手の健康や楽しい夏を願う気持ちを伝えます。 「厳しい暑さが続きますので、楽しい夏休みをお過ごしください。」 「夏風邪などお召しになりませんよう、どうかご用心くださいませ。」 このように、手紙の締めくくりに季節感あふれる一言を添えることで、文章全体が美しくまとまります。
✅ ポイントまとめ
- 結びの挨拶は、相手への配慮・感謝・願いを季節に沿って丁寧に伝える場面。
- 導入(時候の挨拶)との統一感を意識することで、全体が洗練された印象に。
- 7月は「猛暑・体調への配慮・夏の楽しみ」などが結び表現の中心。
📝 ビジネス文書向け:7月の結びの挨拶例
表現テーマ | 結びの例文 |
---|---|
相手企業の発展を祈る | 炎暑の折、貴社のますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。 |
体調への配慮 | 時節柄、くれぐれもご自愛専一にてお願い申し上げます。 |
今後の関係を願う | 今後とも変わらぬお引き立てを賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。 |
※フォーマル度が高い場合は、「敬具」で締めるのが一般的です。
✉ プライベート文書向け:7月の結びの挨拶例
表現テーマ | 結びの例文 |
---|---|
健康を気づかう | 夏風邪など召されませんよう、ご自愛ください。 |
夏を楽しむ願い | 厳しい暑さが続きますが、どうぞ楽しい夏をお過ごしください。 |
子どものいる家庭 | 夏休みが素敵な思い出で満ちるものとなりますよう、お祈りしております。 |
※カジュアルな書簡では、「それでは、またね」「暑さに負けず元気に過ごしてくださいね」などもOKです。
💡 結びの文例構成(ビジネス)
今後とも変わらぬご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
炎暑の折、皆様のご健勝と貴社のますますのご発展をお祈り申し上げます。
敬具
総括:7月季語一覧|美しい言葉と手紙で使える挨拶文
- 7月は俳句の世界で夏の終わりを意味する「晩夏」に分類される
- 季語には「炎暑」など暑さを表す言葉と「秋近し」など秋の気配を表す言葉が共存する
- 美しい響きを持つ季語として「涼風」「夕凪」「花氷」などがある
- 夏の生命力を象徴する植物の季語には「向日葵」や「青田」が含まれる
- 「蓮」や「睡蓮」「合歓の花」など7月に咲く花は俳句の題材として人気が高い
- 有名な俳句に触れることで季語が持つ情景やニュアンスの理解が深まる
- 「水晶の 念珠つめたき 大暑かな」は日野草城の句で季語は「大暑」
- 季語を使う際は現代の季節感とのずれに注意が必要
- 「西瓜」や「七夕」は夏のイメージが強いが俳句では秋の季語
- ビジネス文書では「盛夏の候」「大暑の候」など漢語調の挨拶が用いられる
- 7月上旬は梅雨の状況に合わせ「長雨の候」や「小暑の候」を使い分ける
- 7月下旬は猛暑を反映し「炎暑の候」や「酷暑の候」などが適している
- 口語調の挨拶では「梅雨明けが待ち遠しいこの頃」のように具体的な情景を描写する
- 手紙の結びにも季語を使い相手の健康を気遣う言葉を添えるのが丁寧
- 7月の季語を学ぶことは日本の豊かな季節感や言葉の美しさに触れる機会となる